[鳥インフル拡大] 感染対策の徹底さらに
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 高病原性鳥インフルエンザが全国に広がっている。殺処分対象数は10日までに約1091万羽となり、1シーズンとして初めて1000万羽を突破した。
 世界的なウイルスのまん延が背景にある。渡り鳥を介して日本に持ち込まれ、過去最悪のペースに歯止めがかからない。
 流行期はまだ続く。養鶏場にウイルスを侵入させないように最大限の警戒を続けなければならない。
 国内の鳥インフルエンザは例年、シベリアを営巣地とするカモ類などの渡り鳥が越冬のため飛来することから引き起こされ、秋ごろから翌春ごろまで感染が見られる。
 欧州で昨年、夏場も感染が切れ目なく発生し、現地の野鳥が継続的にウイルスを保有するようになったとみられる。シベリアに運ばれ、日本に持ち込まれた割合が増えた可能性がある。
 今シーズンはこれまでで最も早い昨年10月、北海道と岡山県で発生が確認され、その後国内発生事例数は最多を更新した。
 鹿児島県内でも過去発生がなかった南薩を含め最多の12例が確認され、殺処分数は約134万羽に上る。養鶏場の打撃は計り知れない。
 県内で新たな発生がなければ、15日までに全ての制限が解除される。約2カ月ぶりに全農場で、卵や鶏の出荷や導入が通常通りに戻る。
 養鶏場の関係者は今後も衛生管理を徹底し、感染対策を緩めてはならない。防鳥ネットをはじめ、ネズミやイタチなど小動物侵入対策を再点検したい。養鶏に関わっていない人たちも、死んだり弱ったりした野鳥を見たら近付かず自治体に通報することが大切だ。
 殺処分となれば自治体職員の心身への負担は大きい。鶏の捕獲、炭酸ガス注入、埋却を繰り返す。職員の健康対策にも万全を期す必要がある。
 殺処分後の課題も発生した。出水市野田では、埋却地近くのため池が消石灰混じりの液体で汚染され、周辺に悪臭を放つようになった。
 県は地元住民に状況を説明し、防疫措置の不備を認めて謝罪した。昨年末から池の水を抜く作業を進めており、さらに死骸を他の場所へ移す方針だ。抜本的対策を急ぎ、再発防止にも努めてもらいたい。
 一方、鶏卵の値上がりに拍車がかかっている。JA全農たまごによると、価格の目安となる「全農たまご東京Mサイズ」の昨年12月の卸売価格は、統計が公表されている最近30年間で最高値となった。
 ウクライナ危機による飼料価格の高騰に、鳥インフルエンザが追い打ちをかけた形だ。農水省は今のところ供給量に問題はないとするが、影響が長期化する恐れもある。卵の流通や価格を注視していかなければなるまい。