[空き家対策] 増加に歯止めかけたい
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 政府が空き家対策の強化に向けて、今国会に関連法改正案を提出する。
 住める状態のうちに有効利用を推進。民間との連携も強め、増加に歯止めをかける狙いがある。
 空き家問題は先送りするほど手間や時間、コストがかかるほか、所有者の分からないケースも増える。関連機関が協力し、早めの対策で活用に知恵を絞りたい。
 国土交通省の試算では、長い間、人の住んでいない空き家は2018年調査時点で約349万戸に上り、20年前よりほぼ倍増した。人口減少や都市への人口移動もあり、30年には470万戸に増えると見込まれる。
 空き家が老朽化すれば、防災や防犯、衛生、景観への悪影響が心配される。そのため、15年全面施行の空き家対策特別措置法は、倒壊や衛生上著しく有害となる恐れがあるケースを「特定空き家」に指定。所有者に除去や修繕を命令できるほか、従わなければ行政代執行による強制撤去も可能とした。
 今回の改正案のポイントは3点。「促進区域」を市町村が設定し、カフェや店舗に転用しやすくする。管理不十分な空き家は、固定資産税の軽減対象から除外。台風などで損壊が進むなど緊急性が高い場合は一部手続きを省いて自治体が撤去できる仕組みを導入する。
 特定空き家は全国に約2万戸、管理不十分は約24万戸に及ぶとされる。状況が悪化する前の予防対策が進むよう期待したい。
 ただ、改正案の効果は限定的にとどまると言わざるを得ない。大都市圏の中心部にはタワーマンションが次々と建てられ、郊外のニュータウンや地方都市での一戸建て空き家の増加を引き起こす一因となっているからだ。東京一極集中の是正や、まちづくりと連動させた住宅政策といった長期的な視点からの対策も求められよう。
 新型コロナウイルス禍でテレワークが普及し、若い世代の地方移住への関心が高まっている。子育て世代にとっては自然に恵まれた環境や、生活コストの低さが魅力だ。だが、移住者向けの住宅は全国的に不足している。
 自治体が音頭を取って中古住宅の流通を活発にできないか。市街地の物件だけでなく、郊外部や中山間地域では農地付き、温泉付きなど移住者のニーズに合った住宅を用意すれば需要は高いはずだ。市町村が自治会と連携して空き家を見つけ、遠隔地に住む親族に管理を促す。管理が難しければ専門業者を紹介するなどのきめ細かい対応も重要だ。
 低所得者や高齢者向けの住宅確保支援として、官民の分野をまたぐ「空き家の福祉的活用」を目指す取り組みもある。空き家を資源として生かす動きを盛り上げたい。