
[広域強盗事件] 手口の徹底解明必要だ
( 2/9 付 )
各地で相次いだ広域強盗事件で「ルフィ」などと名乗って犯行を指示した疑いのある4人のうち2人がフィリピンから強制送還され、警視庁は特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で逮捕した。残る2人も9日未明の航空機で日本に身柄を移される見通しだ。
広域強盗事件は14都府県で少なくとも計20件発生し、社会に大きな不安を与えた。指示役とみられる4人の送還は大きな節目となろう。
警視庁は特殊詐欺事件について調べた後、東京都狛江市の強盗殺人事件などへの関与についても追及する。犯罪の計画や指示系統など、手口の全容解明に全力を尽くしてもらいたい。
4人は被害額が計60億円以上に上る特殊詐欺グループの幹部とされる。2019年11月、日本の高齢者に詐欺の電話をかけるフィリピンの拠点が現地当局に摘発され、日本側は21年2月までに4容疑者の逮捕状を取り、引き渡しを求めていた。
調整に手間取る中で、日本では特殊詐欺の取り締まりが強化され、インターネットを通じて実行役を集める手口はそのままに広域強盗に形態を変えたとみられる。もっと早く引き渡しが実現していれば事件を防げたのではないか。後手に回ったことが悔やまれる。
日本とフィリピンは犯罪人引渡条約を結んでいない。今回はマルコス大統領の日本への公式訪問に影響を与えないよう、急きょ送還が実現した。日本の捜査権が及ばない海外に足場を移す犯罪グループは増えているようだ。捜査協力の在り方も模索する必要がある。
今後は、4人がどのように事件に関与したかなどを明らかにしていくことになるが、困難も予想される。
容疑者らがいたフィリピンの入管施設は職員に賄賂を渡せば特別な部屋やスマートフォンなどが手に入り、日本の被害者や実行役と連絡を取ることができたという。拘束中とはいえ口裏を合わせられる環境でもあったようだ。
4人から押収したスマホは日本側に引き渡されている。指示役と実行役は匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」でやりとりしていたという。記録が十分に解析できるかが鍵となる。
特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」も強盗の実行役もネット上の「闇バイト」募集で集められたことが分かっている。交流サイト(SNS)が関係者をつなぐ「犯罪のインフラ」として使われている側面は見逃せない。
警視庁などはツイッター上の闇バイトをうかがわせる投稿に警告メッセージを送信。警察庁は3月からネット上の違法・有害情報の通報受け付けやサイト管理者らへの削除依頼の対象に「殺人、強盗」などを追加する。
対応の前倒しや民間の協力で監視の網を拡大することも重要だ。安全な社会づくりへ取り組みを加速させたい。
- [広域強盗事件] 手口の徹底解明必要だ (2/9 付)
- [中国気球撃墜] 緊張の激化回避したい (2/8 付)
- [秘書官差別発言] 政権の人権感覚を疑う (2/7 付)
- [戸籍に読み仮名] 命名の自由広く論議を (2/5 付)
- [空き家対策] 増加に歯止めかけたい (2/4 付)
- [年収の壁] 「働き損」解消が急務だ (2/3 付)
- [教員の精神疾患] 職場環境の抜本改善を (2/2 付)
- [国際線再開] 定期便見据えた態勢を (2/1 付)
- [電力不正閲覧] 許されぬ法令順守欠如 (1/31 付)
- [細田氏と教団] 議長の資質が問われる (1/29 付)
- [ネット有害情報] 監視強化で事件防止を (1/28 付)
- [1票の格差「合憲」] 抜本改革に着手したい (1/27 付)
- [衆院代表質問] 国民の前で堂々議論を (1/26 付)
- [強制不妊訴訟] 強烈な人権侵害と指弾 (1/25 付)
- [通常国会召集] 問われる首相の「語る力」 (1/24 付)
- [コロナ「5類」へ] 国はリスク含め説明を (1/22 付)
- [ストーカー規制] いかに実効性高めるか (1/21 付)
- [「東電」再び無罪] 組織罰の導入急ぎたい (1/20 付)
- [経団連春闘指針] 中小企業の賃上げ鍵に (1/19 付)
- [元徴用工解決案] 関係改善につなげたい (1/18 付)
- [民生委員不足] 大切な役割周知したい (1/17 付)
- [日米首脳会談] 緊張緩和へ協力深化を (1/15 付)
- [安倍氏銃撃起訴] 動機と背景 徹底解明を (1/14 付)
- [馬毛島基地着工] 安全な暮らし守れるか (1/13 付)
- [鳥インフル拡大] 感染対策の徹底さらに (1/12 付)
- [高齢者労災多発] 安心して働ける職場に (1/11 付)
- [生物多様性目標] 実効性の確保が課題だ (1/10 付)
- [コロナ「第8波」] インフルと併せ対策を (1/8 付)
- [技能実習制度] 抜本的な改革急ぎたい (1/7 付)
- [子ども予算] 出産育児支える社会に (1/6 付)
- [外交・安保展望] 平和国家 今こそ前面に (1/5 付)
- [政治・経済展望] 政策に国民の声反映を (1/4 付)
- [県内展望] 腰据え変化に備えたい (1/3 付)
- [日本の針路] 若者とともに考えよう (1/1 付)
- [鹿児島この1年] 米軍との一体化が加速 (12/31 付)
- [東九州道] 全線開通へ4県連携を (12/30 付)
- [年金納付の延長] 持続的な制度へ熟議を (12/29 付)
- [特定秘密漏えい] 防衛力強化に不安募る (12/28 付)
- [噴火メール終了] 気象庁は丁寧な説明を (12/27 付)
- [原発賠償見直し] 実情に寄り添い支援を (12/25 付)
- [新年度予算案] 財政規律の軽視を懸念 (12/24 付)
- [薗浦議員辞職] 資金の使途 自ら説明を (12/23 付)
- [日銀緩和策修正] 弊害の検証が不可欠だ (12/22 付)
- [学術会議見直し] 独立性維持できるのか (12/21 付)
- [全世代社会保障] 子育て支援待ったなし (12/20 付)
- [水産物と温暖化] 国が主導し現状把握を (12/18 付)
- [防衛力強化-3文書決定] 安保政策の大転換だ (12/17 付)
- [防衛力強化-1兆円増税] 規模優先でいいのか (12/17 付)
- [知床観光船調査] 国の責任も検証が必要 (12/16 付)
- [被爆2世訴訟] 実態に即した援護策を (12/15 付)
- [インボイス制度] 税負担の大転換周知を (12/14 付)
- [クルーズ船再開] コロナへの対応万全に (12/13 付)
- [臨時国会閉会] 首相は説明が足りない (12/11 付)
- [中国コロナ緩和] 激変の影響注視したい (12/10 付)
- [救済法案成立へ] 実効性高める見直しを (12/9 付)
- [75歳医療保険料] 負担増の議論は丁寧に (12/8 付)
- [電力カルテル] 顧客の信頼を裏切った (12/7 付)
- [園児虐待] 実態の解明を速やかに (12/6 付)
- [崩落事故10年] 老朽インフラに備えを (12/4 付)
- [反撃能力] 疑問解消へ十分論議を (12/3 付)
- [同性婚訴訟] 国の「放置」許されない (12/2 付)
- [馬毛島知事容認] 議会で納得いく説明を (12/1 付)
- [原発行動計画案] 国民の合意が不可欠だ (11/30 付)
- [森友改ざん判決] 遠い解明、政府は本腰を (11/29 付)
- [東京五輪談合] 疑惑の徹底解明求める (11/27 付)
- [子育て費用] 長期的な支援策推進を (11/26 付)
- [教団被害者新法] 与野党協力し一致点を (11/25 付)
- [不登校最多] 学びの機会を支えたい (11/24 付)
- [防衛力強化] 装備と費用の精査必要 (11/23 付)
- [寺田総務相更迭] 遅い決断 国民の信失う (11/22 付)
- [肥料の高騰] 輸入頼みからの脱却を (11/20 付)
- [日中首脳会談] 緊張緩和を探る糸口に (11/19 付)
- [和牛新時代] 高い技術力でリードを (11/18 付)
- [ミサイル着弾] 予断排し調査急ぎたい (11/17 付)
- [米中首脳会談] 対話継続で溝埋めたい (11/16 付)
- [日韓首脳会談] 関係改善へ対話加速を (11/15 付)
- [第8波] インフル流行も警戒を (11/13 付)
- [葉梨法相更迭] 法務行政をおとしめた (11/12 付)