[籠池氏証人喚問] 疑惑は深まるばかりだ
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 安倍晋三首相からの100万円の寄付はあったのか、なかったのか、異例づくめの手続きに政治家は関与しているのか。

 国有地の売却交渉を巡る数々の疑惑は、解明されるどころか深まるばかりだ。引き続き関係者を国会に呼び、真相究明を図らなければ国民は納得できまい。

 大阪市の学校法人「森友学園」の理事長退任意向を示している籠池泰典氏の証人喚問が、衆参両院の予算委員会で行われた。

 籠池氏は2015年に講演に訪れた安倍昭恵首相夫人から「『安倍晋三からです』として、100万円の寄付を受け取った。鮮明に覚えている」と証言した。籠池氏の妻と昭恵夫人がメールを繰り返していたことも明らかにした。

 安倍首相はこれまでに、自身も夫人も寄付をしていないと明確に否定している。事実はどちらなのか、首相側はあらためて真摯(しんし)に語るべきだ。

 与党側は、籠池氏の主張の信頼性が薄いことを重ねて指摘した。真相解明より首相側が巻き込まれた被害者であることを強調するような姿勢とも受け取れ、違和感を禁じ得ない。

 大阪府の私立学校審議会に、愛知県の私立学校の推薦入学枠を確保したと報告していたことなどについて質問し、虚偽であったことを認めさせた。

 首相の名前を使って寄付金を集めていたことも「許可を得ておらず、詐欺では」とただした。

 だが、100万円の寄付については、詳細に語る籠池氏の証言を覆せたとは言い難い。これで幕引きを図ってはならない。

 籠池氏は、昭恵夫人から「口止めとも受け取れるメールが届いた」ことや、定期借地契約を巡って、もっと長い期間に変更できないかを相談したとも述べた。

 メールなどの公開には双方が応じている。詳しく分析し、経緯をはっきりさせてもらいたい。

 政治家の関与については不透明なままだ。籠池氏は「お金を呈しての口利きはなかった」としながら、複数の名前を挙げて「力添えをお願いした」と話した。

 国有地が評価額より約8億円も値引きされたことなどについて、政治家の関与が「あっただろうと認識」しながらも、交渉の過程で「どんなやりとりがあったかは知らない」と述べた。

 昭恵夫人が一時期名誉校長だったことや、政治家の「力添え」で何らかの「忖度(そんたく)」が働いたのか。

 当時の財務省理財局長らの参考人招致も決まった。国会は責任を持って国民に事実を明らかにしてもらいたい。