[生活保護見直し] 必要な人に届く制度に
( 12/19 付 )

 厚生労働省は、生活保護費を来年10月から一部世帯で3年かけて段階的に引き下げ、国費計約160億円を削減すると発表した。都市部などで最大5%減額となる。
 児童手当に相当する「児童養育加算」は40億円プラスとなるが、食費や光熱費に充てる「生活扶助」は180億円減らす。「母子加算」も減額される。
 生活扶助の支給水準は5年に1度見直す。前回改定では3年かけて平均6.5%縮減された。今回は当初案より小幅の減額で、小規模自治体では増額となることもあるが、受給対象者の生活は保障されるのか慎重に見極めるべきだ。
 改定の根拠は、一般の低所得世帯の消費支出より保護費の支給額が多いとの調査結果だ。
 改定を議論する厚労省の審議会は、景気低迷などで低所得世帯の消費が減ると保護支給額も減り、最低生活の水準を維持できなくなる恐れがあると、現行制度に疑問を呈した。
 さらに「最低限度の生活水準について本質的な議論をすべきだ」と求め、根本的な算定方法の見直しを迫っている。
 専門家の間には、生活保護が必要な人のうち実際には約2割しか受給していないとの指摘もある。制度の理念に照らして現状に矛盾はないのか、あらためて点検しなければならない。
 生活保護受給世帯は9月時点で164万世帯を超え、20年間で約2.7倍に膨らんでいる。半数近くは1人暮らしの高齢者だ。
 鹿児島県内では約2万4000世帯が受給し、この数年、月平均2万3000~2万4000世帯で推移している。高止まりの状態にあると言っていいだろう。
 独居高齢者対策をはじめ受給世帯の自立は大きな課題だ。ただ、支援体制には不安が残る。
 生活保護のケースワーカーが1人当たり受け持つ平均保護受給世帯数は、鹿児島県内4市の福祉事務所で4月に、法が定める標準数80を上回った。最多は118で負担は大きい。
 ワーカーは受給手続きや調査、訪問による受給者の生活・就労指導などを担う。社会問題となった不正受給はないか見極める大切な役割もある。
 行財政改革などで職員数が絞られ、保護の実態把握に追いついていないなら問題の根は深い。県は必要数の充足に努めるよう指導しているというが、抜本的な解消策には程遠い。
 憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」とは何か。本当に困った人が安心して頼れる制度にしたい。