[リニア入札談合] 許されない業界の悪弊
( 12/20 付 )

 リニア中央新幹線の工事を巡る不正入札の捜査は、大手ゼネコンの談合事件に発展する公算だ。
 東京地検特捜部と公正取引委員会は独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、大林組、鹿島、清水建設、大成建設の本社などを家宅捜索した。
 リニアの総工費は9兆円超に上る。発注は民間のJR東海だが国の財政投融資を使って3兆円が充てられる国家的プロジェクトだ。
 大林組は4社による不正な受注調整を認め、課徴金減免制度に基づき公取委に違反を申告した。
 浮かび上がってきたのは巨大事業の裏で、スーパーゼネコンと呼ばれる4社が工事を分け合う構図である。
 談合はおよそ許されない業界の悪弊と病理にほかならない。特捜部や公取委は、業界のうみを出すため全容の解明に全力を挙げてもらいたい。
 一連の捜査の端緒は、リニアの地下トンネルから地上に避難するため名古屋市に新設する非常口工事の入札だ。大林組の共同企業体(JV)が約90億円で受注した。
 大林組は事前に工事費などの非公開情報を入手し、競合他社に受注の希望を伝え、他社も協力したとされる。こうした受注調整は他の工事でも繰り返された疑いがある。
 実際に4社が受注した工事15件は、各社3~4件ずつ均等割りで工事を取った形だ。
 大林組は当初、入札を巡る偽計業務妨害容疑で強制捜査を受けたが、1社だけの不正でないとの見方は根強かった。捜査のメスが業界の談合体質に向かったのは当然の成り行きだろう。
 リニア建設を巡っては在来線の運行を続けながら地下駅を造ったり、南アルプスをトンネルでくりぬいたりするなど難工事が多い。
 このため請け負える企業は高い技術力を持つ大手に限られることは確かだ。「工事は利幅が少なく技術者も足りない」(大手ゼネコン幹部)との声も上がる。
 だからと言って、決して受注調整の言い訳にはならない。工事費が膨らめば、乗客の運賃などにはね返る。不正のつけが国民に回ってくることは間違いない。
 発注のあり方にも目を向ける必要がある。JR東海側が工事費の見積もりを漏らし、組織としての意向が受注調整の背景にあった疑いが持たれている。
 国民生活に直結する巨大事業だけに、入札や契約の透明性確保が欠かせない。JR東海は民間企業の入札に独禁法が適用された意味を十分考慮し、入札のあり方を検証すべきだ。