[大学定員抑制] 地方の人口減歯止めに
( 12/20 付 )

 若者の東京一極集中を是正するため、政府は有識者会議がまとめた最終報告書を基に、東京23区にある大学の定員を抑制し、来年度当初予算案に地方大学の振興に関する交付金100億円を計上する方針を固めた。
 定員抑制に関する法案は来年の通常国会に提出する。
 東京はまるでブラックホールのように、大学進学や就職する若者を全国から吸い寄せている。報告書にある施策は地方の人口流出に歯止めを掛ける一手段だ。
 小池百合子東京都知事は「大学の国際競争力を低下させ、国益を損なう」と反対するが、このまま手をこまねいていれば一極集中は抑えられない。
 人口減少に悩む鹿児島県など地方からみれば、必要な施策といえよう。
 東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)への近年の転入者は転出者より約12万人多い。このうち大学進学時に限っても7万人程度の転入超過だ。
 東京都の大学進学者の収容力は、都内の高校を卒業する大学進学者の2倍程度に当たる。
 一方、18歳人口はこの25年で4割減り、2017年には120万人となった。40年には88万人になると予測され、深刻度を増す。
 今後、減少する学生を全国で奪い合う状況になるのは間違いない。仮に23区内の定員を据え置いても、学生は東京に集まり地方の学生は減少するだろう。
 このままでは地方の大学の経営が成り立たず、淘汰(とうた)につながることは明らかだ。全国的な大学の適正配置に関して、今から議論を始めなくてはならない。
 報告書は地方大学の振興について、「総花主義」から脱却し、強みのある分野の強化に取り組むよう求めた。
 具体的には、地域ごとに産官学が連携する推進体制を構築し、振興計画を策定する。その中で、国が地方創生に優れた事業と認定すれば交付金で支援するという。
 特色ある大学を目指すことは理解できる。だが、国の意向に沿う計画でなければ交付金を出さないという手法は、大学の自主性を損ないかねない。地域貢献ばかりが重視され、自由な研究が軽んじられてはならない。
 地方では幅広い雇用の創出も課題だ。
 政府は東京五輪が開かれる20年に、東京圏の転入者と転出者の数を均衡させる目標を掲げている。報告書にある施策の実行だけでは、目標実現は困難だろう。即効性のある政策を打ち出し、早急に実行に移す必要がある。