[相撲協会が処分] 組織改革に本腰入れよ
( 12/22 付 )

 元横綱日馬富士関の暴行事件で、日本相撲協会が力士らの処分を決めた。
 事件があった酒席に同席していた横綱の白鵬関と鶴竜関には報酬減額処分を科した。元日馬富士関は引退勧告相当とし、師匠だった伊勢ケ浜親方は理事を辞任し降格となった。
 大相撲のイメージを著しく失墜させた事件のけじめをつけるため、重い処分が科されるのは当然である。
 角界は今こそ、指導に名を借りた暴力体質との決別が求められている。力士や師匠らの徹底した意識改革を急ぎたい。
 協会は対応が後手に回り、ガバナンス(組織統治)の欠如が深刻だ。オープンな組織運営に向けた改革に本腰を入れるべきだ。
 横綱審議委員会は事件現場で白鵬関と鶴竜関が敏感に反応していれば、元日馬富士関の暴行をすぐに止められたはずだと指摘した。
 大勢の力士が同じ部屋で共同生活する角界は特殊な環境にあり、規律は厳しい。礼儀を教えることも重要だ。だからといって暴力が許される理由にはならない。
 相撲協会の危機管理委員会は再発防止策について「暴力追放の日」を制定し、暴力撲滅を目指して活動していることを社会に表明すべきだなどと提言している。
 各部屋の師匠自らが反暴力を掲げ、弟子一人一人が暴力を否定する意識を育むことが角界再生の出発点だと肝に銘じてほしい。
 今回の処分は事件発覚から1カ月以上を要し、事態の早期収拾はできなかった。協会は警察から連絡を受けながら、初動対応が遅れるなど自浄能力の低さが問われている。
 いまだに解せないのは、被害者である弟子の貴ノ岩関の聞き取りを何度も拒んだ貴乃花親方の言動である。
 今回、貴乃花親方は協会の聴取が遅れ処分が先送りされたが、横審は「非難に値する」と厳しく批判した。秋巡業中の事件なのに協会巡業部長としての報告義務を怠り、協会理事としての責任も放棄したことに等しい。
 こうした問題が起きるのも、部屋の親方が協会の理事を兼ねているためだ。これでは部屋の利害から離れられず風通しも悪い。第三者の目を入れるなど抜本的な改善が必要だろう。
 大相撲は過去の暴行死事件や八百長問題など不祥事から立ち直り、今年は21年ぶりの全90日間満員御礼を達成した。
 ファンは再び厳しい目を向けている。協会は信頼回復に向け、どう取り組むか待ったなしだ。