[新年度予算案] 中長期の視点欠かせぬ
( 12/23 付 )

 歳出改革に目配りしながら、めりはりの利いた予算に仕上がったとは言い難い。
 政府はきのう、2018年度予算案を閣議決定した。年明けの通常国会に提出し、3月末までの成立を目指す。
 一般会計総額は97兆7128億円と6年続けて過去最大を更新した。社会保障費が約33兆円に膨らみ、全体の3割強を占める。防衛費も北朝鮮への対応で6年連続で増額した。
 安倍晋三首相の意向や政治的配慮が色濃く反映された予算案ということだろう。
 中長期的な視点から、真に必要なところに財政措置がなされているか、歳出の無駄はないのか。国会で徹底的に論議すべきだ。
 1965年11月から4年9カ月続いた「いざなぎ景気」を超える長期の景気拡大により、税収が27年ぶりにバブル期並みの高水準になると想定している。
 しかし、収支改善は小幅にとどまる見込みだ。歳出の切り込み不足は明らかで、歳出膨張への危機感は乏しいと言わざるを得ない。借金である新規国債発行額は33兆6922億円と高止まりしたままである。
 借金残高は1000兆円を超え、先進国で最悪状態だ。好調な海外経済を追い風に国内景気が改善している今こそ、本格的な財政再建に取り組む好機である。
 社会保障の「全世代型」への転換は当然の流れだ。子育て支援など少子化対策の充実を一層図ることが求められる。
 今後の医療と介護の在り方は、超高齢社会となる2025年を見据えて見直していくことが欠かせない。
 人口の多い「団塊の世代」が75歳を迎え、後期高齢者の仲間入りをする。国民の5人に1人だ。
 医療・介護費はすさまじい勢いで膨らみ、国の財政は厳しさを増す。限られた財源や人手、施設を効率的に運用するしかない。
 防衛費が膨張し、歯止めがかからない状況が続くのも重大だ。
 核・ミサイル開発を進める北朝鮮の「脅威」や、米国製武器の購入を露骨に迫るトランプ米大統領に応える姿勢が目立つ。大盤振る舞いをしている財政的余裕はないはずだ。
 「専守防衛」を国是としつつ、その実態がどんどん変質していく恐れがある。十分な議論がなされないのは問題だ。
 来年は憲法改正問題に加え、防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」の改定が控える。安全保障の在り方を巡り議論を深める必要がある。