[米批判決議採択] どう喝外交やめるべき
( 12/26 付 )

 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことは容認できない―。国際社会が突きつけた批判の声に米国は真摯(しんし)に向き合うべきだ。
 国連総会の緊急特別会合は、米政府に認定の撤回を求める決議案を賛成多数で採択した。
 米国の孤立ぶりが鮮明になったものの、見込みより棄権が増える結果となった。決議案採択の前に、トランプ政権が経済支援の削減を示唆して、賛成しないよう各国に求めたためだ。
 大国の役割を放棄し、米国の信頼を失わせる行為と言わざるを得ない。票を金で買うようなどう喝外交に強く抗議する。
 決議は米国の名指しを避けながらも「エルサレムの地位に関する最近の決定に深い遺憾の意」を表明。エルサレムに大使館を置かないよう全ての国に要請した。
 採択を控えた米国の圧力は露骨だった。
 トランプ氏は米国の支援を受けている国を念頭に「われわれに反対すればよい。大きな節約になる」と支援削減を警告した。
 投票に先立ちヘイリー米国連大使は、米国が国連最大の資金拠出国であることを強調し、「賛否を覚えておく」と演説した。
 トランプ政権がエルサレムの首都認定に固執するのは、妥協せずに公約を実現する実行力を国内にアピールするためだ。来年の中間選挙や2020年の次期大統領選に向けて、ユダヤ系などの有力支持層を固める狙いがある。
 国内向けの政策のために国連や加盟国を脅し、敵か味方かの「踏み絵」を迫る米国の姿勢にはあきれるばかりだ。
 決議案には日本や英国など同盟国のほか、米国の援助に頼るアラブ諸国も賛成した。
 一方、米国の強い影響下にあるオーストラリアやカナダなど35カ国が棄権に回った。賛成国が予想の最低150を下回り、128カ国にとどまったのは残念だ。
 中東の混乱にとどまらず、世界の分断をも生じさせた米国の責任は重い。
 日本が賛成票を投じたのは、中東諸国との関係悪化を懸念したためだ。
 だが、これまでのところ積極的な発言はみられず、首都認定にこだわるトランプ氏を刺激したくないとの思惑も見え隠れする。
 河野太郎外相はイスラエルとパレスチナを訪問し、双方に冷静な対応を促す考えだ。
 トランプ氏の決定を称賛するイスラエルと猛反発するパレスチナの間で日本が「仲介役」を担えるのか、注目したい。