[診療・介護報酬] 持続可能な制度構築を
( 12/26 付 )

 医療と介護の連携を強め、超高齢社会に対応する持続可能な制度の構築を急ぎたい。
 6年に1度となる診療報酬と介護報酬の同時改定を巡る政府内調整が決着した。2018年度予算編成の焦点の一つだった。
 2年ごとに改定される診療報酬は、全体で0.9%減となった。薬の実勢価格に合わせ「薬価」を大幅に引き下げる一方、医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」は0.55%引き上げた。3年で見直す介護報酬も0.54%のプラス改定とした。
 経営が悪化する病院や介護事業所に政府が配慮した格好だ。
 確かに、介護事業所は前回のマイナス改定後、倒産が相次いだ。職員は低賃金にあえぎ人手不足も深刻である。過労死と隣り合わせの病院勤務医の労働環境も改善が必要だろう。
 ただ、各報酬の原資は税金や保険料、利用者負担だ。プラス改定は国民負担の増加につながる。
 政府は年明けに、個別の診療や介護サービスに対する報酬配分の議論を本格化させる。
 国民が真に安心できる制度にするには、将来像を見据えた骨太の議論が欠かせない。
 財政状況が年々厳しさを増す中、年間の医療費は約45兆円、介護費用は約11兆円に上る。人口の多い団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる25年に向け、さらに急拡大することが予想される。
 医療・介護制度の一層の効率化を図り、聖域を設けずに無駄を省く不断の見直しが求められる。
 推進すべきは、持病や障害があっても入院を長期化させず、住み慣れた地域で暮らせる環境づくりだ。
 厚生労働省の方針では、増えすぎた重症者向けの急性期病床を減らすために診療報酬の仕組みを改める。早期退院を目指してリハビリを重視する病床や在宅医療への転換を進める。
 介護報酬では、自宅や介護施設でのみとりを促すため、体制を整えた特別養護老人ホームや訪問看護事業所の報酬を増やす。
 いずれも入院医療への依存を避ける方向性に沿うものと言えよう。
 要介護度の悪化を防ぐ手だても課題だ。医師やリハビリ職と連携して自立支援に取り組んだ通所介護(デイサービス)事業所の報酬を引き上げる方向で議論されている。
 調理や掃除をする訪問介護の生活援助サービスは、過度な利用が逆に高齢者の自立を妨げるという指摘がある。サービスのあり方について慎重な検討を進めたい。