[柏崎審査合格] 地元同意は得られるか
( 12/29 付 )

 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が、新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査に合格した。
 福島第1原発事故後、原因企業である東電の原発が合格するのは初めてだ。福島と同じ沸騰水型としても初の合格である。
 政府は原発をベースロード電源に位置付け、再稼働に前のめりだ。東電も原発再稼働に収支改善の望みをかけている。規制委のお墨付きを得た今、一日も早く営業運転を始めたいに違いない。
 だが、肝心なのは地元がどう判断するかだ。再稼働には新潟県など立地自治体の同意が欠かせない。米山隆一知事は判断に「3~4年かかる」と慎重で、早期の運転再開は容易ではないだろう。
 規制委の約4年間の審査で焦点になったのは、東電の適格性の有無だった。福島の事故を起こした企業が、同型の原発を運転する。資質や資格が厳しく問われるのは当然である。
 規制委は今年7月、小早川智明社長ら経営陣への聴取で「第1原発の廃炉に主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」とまで批判した。ところが、東電が廃炉をやり遂げるなどとした決意文を提出すると、一転して適格性を認めた。
 審査書で「東電だけが技術的能力が劣っていたと判断するのは適切でない」との判断を示しており、厳しい姿勢が腰砕けになった印象は否めない。
 原発を持つ企業が技術的能力を持つのは当たり前で、社会的な信頼が得られてこそ適格性が認められるはずだ。
 東電は福島で発電所の全電源を喪失し、原子炉は制御不能に陥った。その経緯はいまだに解明されていない。柏崎は原子炉格納容器への冷却装置の追加案が審査合格の決め手になったというが、これで安全を確保できるのか。
 東電は審査中にも不祥事が相次いだ。免震重要棟の耐震性不足を把握しながら規制委に報告していなかったことが発覚した。原子炉建屋などの防火壁で建築基準法違反が見つかったこともある。ずさんとしか言いようがない。
 新潟県は独自に立ち上げた検証委員会で第1原発事故などの検証に乗り出し、炉心溶融の隠蔽(いんぺい)を東電に認めさせるなど実績を上げている。再稼働の是非判断では東電の適格性があらためて厳しく問われよう。
 地元には再稼働の経済効果を期待する声があるのも確かだ。米山知事をはじめ各自治体には、住民の不安や不信に向き合った判断が求められる。