[日韓慰安婦検証] 韓国政府は合意履行を
( 12/29 付 )

 慰安婦問題を巡り、韓国政府の作業部会が2年前の日韓合意を検証した報告書を発表した。
 報告書は「被害者である慰安婦の意見を十分に集約しなかった」と指摘。合意をまとめた朴槿恵前政権の外交の稚拙さを強調したが、日本批判はなく合意見直しも提言しなかった。
 日韓合意は慰安婦問題の解決に向け、内容と意義を確認した国家間の約束である。双方に合意を守る責任があり、韓国側が見直しを求めないのは当然だ。
 韓国政府は今回の検証を契機に、合意に反対する市民団体などを説得する努力を本格化させてほしい。
 日韓合意がうたうのは「最終的かつ不可逆的な解決」だ。
 日本は政府責任を認めて韓国財団に10億円を拠出し、合意を履行した。韓国はソウルの日本大使館前にある慰安婦少女像の問題解決に努力すると約束したが、像は今も撤去されていない。
 もともと韓国では、被害者の頭越しの合意との批判が強い。今年5月の大統領選は、当選した文在寅大統領を含む主要候補者5人全員が破棄や見直しを主張した。
 今回の検証報告には世論のガス抜きを図ろうとする文政権の狙いもあろう。だが、市民団体の反発で問題の収拾は見通せない。
 文氏は検証結果を受け、「この合意では慰安婦問題が解決できないことを改めて明確にする」と述べた。
 これでは為政者としての責任感に欠けよう。朴前大統領が罷免、逮捕されたとはいえ前政権時代の合意を納得できないとして軽視するなら、韓国の法治国家としてのあり方にも疑念を抱かせる。
 両国関係に火種を残しそうなのは、外交交渉の裏側と言える非公開部分が明らかにされたことだ。
 外交の秘密が守れないなら、北朝鮮の核・ミサイル問題など安全保障に関する情報共有にも影響が出かねない。
 日本は「合意に至る過程に問題があったとは考えられない」(河野太郎外相)としている。過敏に反応することなく、韓国政府に合意履行の重要性を伝えることが必要だ。
 元慰安婦の7割以上が日本政府が拠出した10億円からの現金支給に肯定的だ。一方で受け取りを拒否する人がいる。
 こうした中、高齢化が進み、合意時点で存命だった47人のうち約3割の人が亡くなっている。
 来年は「日韓パートナーシップ宣言」から20年の節目である。韓国政府は合意の履行に向け、冷静に対応してもらいたい。