[復興拠点整備] 地域の将来像見えない
( 12/30 付 )

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町で、住民が再び住めるようにする「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)の整備に向けた除染が始まった。
 政府が認定した復興拠点の整備計画に基づく初めての作業である。福島県内7市町村に残る帰還困難区域の再生に向けた第一歩ではあるが、帰還目標は2022年春ごろまでとまだ遠い。
 順調に進んだとしても、どれくらいの住民が戻るかは見通せない。拠点の内と外で町民の分断が生じることも懸念される。
 安心して住める古里が取り戻せるのか。町全体の復興に向けた道のりは依然厳しく、地域の将来像は見えないと言わざるを得ない。
 帰還困難区域は福島第1原発事故による避難区域のうち、放射線量が年間50ミリシーベルトを超え、立ち入りが制限されている地域だ。双葉町では面積の約96%に当たる。
 双葉町の復興拠点は町のおよそ1割の約555ヘクタールだ。今回の工事は来年7月までの予定で、JR双葉駅周辺の約7ヘクタールで表土のはぎ取りや草刈りなどの除染、約55軒の住宅や公共施設の解体を行う。
 政府は最終的には帰還困難区域全域を除染し、避難解除する方針だ。しかし、「選択と集中」が必要だとして、具体的な目標時期は示していない。
 これでは、帰れない地域の人に不公平感が残り、長期的な町の政策も立てづらい。国は早期に計画の全体像を住民に示すべきだ。
 双葉町では、拠点整備のスタートを評価する声がある一方、避難の長期化で帰還を諦めたという町民は少なくない。
 事故から6年9カ月を超え、建物の多くは手つかずのままだ。荒れた家屋に加えて、周囲の放射線量や治安、買い物に不安を感じるのは当然である。
 帰還困難区域が面積の約8割を占める浪江町で、16年に復興庁が行った調査では、将来も含めて「帰りたい」と回答したのは17.5%にとどまった。
 避難先で苦労しながら生活を安定させてきた人たちは多い。国は「帰還ありき」ではなく、住民それぞれの意向に沿った支援の選択肢を提示しなければならない。
 復興拠点の除染にはほかの地域と異なり、国費が投入される。
 1日も早い除染作業は必要だが、環境行政の根幹である「汚染者負担原則」に反しており、事実上の東電救済になっていることは見逃せない。
 最終的には東電に請求することを検討するとともに、負担が生じている以上、国民にも丁寧な説明が欠かせない。