[森友、加計問題] 疑惑解明は年を越した
( 12/30 付 )

 国民の関心が薄れるのを待って逃げ切りを図ろうという思惑だろうか。
 「忖度(そんたく)」という言葉がクローズアップされた森友、加計学園問題は疑惑が解明されないまま来年に持ち越された。
 政府、与党は野党が臨時国会召集や関係者の国会招致を求めても応じる姿勢は見せず、問題解決に後ろ向きだった。
 国会が数の力に牛耳られ、行政を監視し正す本来の役割を果たしていない。国民が疑問や不信を募らせているのは間違いない。
 疑惑があれば与野党問わず、解明に全力を挙げるのが国権の最高機関としての国会の責務である。1月に開かれる通常国会での本格論戦を求めたい。
 安倍晋三首相に近いといわれた大阪市の森友学園と岡山市の加計学園の二つの学校法人は、それぞれ国有地売却と獣医学部新設で優遇されたとの疑念は払拭(ふっしょく)されていない。むしろ疑惑は深まるばかりといえよう。
 森友問題で野党は1年近く追及した。8億円余りも値引きして国有地を学園に売却した経緯は不透明である。
 政府は「適正な処理」との説明に終始しているが、ほころびが見え始めたといっていい。
 値引きの根拠とした地中のごみ撤去費の算定に対する会計検査院の指摘は重大だ。
 土地の売却額がずさんに算定され、「慎重な調査検討を欠いた」とする検査結果報告を参議院に提出。ごみ処分量の推計根拠が定かでなく、実際の処分量は推計の3~7割だった可能性があるなどとした。
 この問題では、安倍晋三首相の昭恵夫人が国有地に建つ予定だった小学校の名誉校長に一時就任。行政側が忖度して不可解な値引きにつながったとの疑惑が浮上している。
 一方、首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部新設は文部科学省から正式に認可された。
 新設を巡っても問題点が浮き彫りになっている。
 大学設置・学校法人審議会が審査の過程で、学園の計画に是正を求める数々の注文を付けた。そもそも2年前に閣議決定された「獣医師の需要動向」など、新設の4条件を満たしているか疑問視されている。
 先の特別国会で首相は「真摯(しんし)な説明を丁寧に行う」と表明している。だが、言葉だけが空回りし、国会論戦は深まらなかった。
 野党は結束して粘り強く追及することが求められる。