[政治展望] 腰据え議論する「準備」の年にしたい
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 2018年が始動し、今月下旬には通常国会が開幕する。
 昨年の衆院選で自民党は大勝し、12年の衆院選以来、国政選挙で5連勝となった。今秋の総裁選で安倍晋三首相が連続3選となれば、歴代最長政権が視野に入る。
 一方、数の力を背景にした「傲慢(ごうまん)さ」が際立つ。衆院選後の国会審議で野党の質問時間を削減するよう求めたのがその典型だ。与党内の議論を経ないトップダウンの政策決定も目立っている。
 独善的な姿勢は国民の反発を招くばかりでなく、政治離れをも加速させかねない。
 首相が「喫緊の課題」と言っていたはずの「働き方改革」をはじめ、憲法改正の議論、沖縄県の米軍基地問題など、持ち越してきた懸案は山積している。
 来年は統一地方選や天皇陛下の退位、参院選など重要な行事がめじろ押しである。予定通りであれば、消費税10%への増税も控える。
 大きな動きに備えて、じっくり課題を解決することが肝要だ。先送りしてきた問題と、腰を据えて向き合う「準備」の年にしたい。

■国会改革を求める
 焦点の一つは憲法改正論議の行方である。
 昨年5月、首相は20年の改正憲法施行と、戦力不保持を定めた2項を残したまま自衛隊を明記する9条の加憲案を唐突に提案した。
 自民党は衆院選の選挙公約で教育無償化を含む改憲4項目を掲げて勝利し、早ければ今年中の国会発議を想定する。
 だが、連立与党の公明党は9条改正に積極的とは言えず、改憲派とされる希望の党も党内に異論を抱える。野党第1党の立憲民主党は、9条改正に反対の立場だ。
 自民党内も首相の加憲案に反対論が根強く、一枚岩ではない。
 安倍政権下での憲法改正を警戒する国民の声も強く、年内の発議は至難の業と言わざるを得ない。
 首相の「20年施行」は独りよがりといっていい。なぜ今改正が必要なのか、国民的理解が先決だ。その上に与野党の合議が必要なことを忘れてはならない。
 税制改正や看板政策の「教育無償化」をはじめ、官邸主導が目立つ中、言論の府たる国会の存在意義が問われている。
 昨年は、2000年に制度ができて以来初めて、一度も党首討論が行われなかった。
 質疑の時間が45分間と短く、野党は首相を長時間追及できる予算委員会を好む傾向もある。だが、党首同士が一対一で論議する場は、国会審議の活性化という意味でも重要なはずだ。
 首相が本会議や予算委員会に出席した週は開かないという与野党合意もあり、これでは開催可能な日程が限られてしまう。
 党首同士の論戦の場にふさわしい開催方法に再考するべきだ。
 巨大与党と対峙(たいじ)する野党が国会対応や参院選にむけてどう連携していくかも注目される。
 衆院で第1党の立憲民主党だが参院では民進党が最大と、“ねじれ”状態にある。民進党は立憲民主や希望との統一会派結成を目指すなど再生を図ろうとしているが、昨年の衆院選以来の混乱に、離党ドミノが止まらない。
 参院選の戦いを考えれば、再編で大きなまとまりをつくることも必要だ。だが、拙速な数合わせでは、国民の支持を失ったこれまでの失敗を繰り返すだけである。
 まずは政策ごとに連携を深め、国会での追及や質問で共闘する工夫が必要だ。その積み重ねの先で政策が一致すれば合流を模索することも考えられよう。

■基地問題の解決を
 世界一危険とされる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を巡っては先月、隣接する小学校に米軍ヘリの窓が落下し、住民の不安は一段と大きくなった。
 普天間周辺には学校や公共施設が多く存在する。ところが米軍に日本の法律は適用されず、市民は墜落の危険性や爆音にさらされ続けている。
 日米地位協定の第27条は、「改正についていずれの政府もいつでも要請できる」としている。沖縄県が抜本的改正を求めているのに日本政府が放置しているのは、怠慢でしかあるまい。
 国民の命と暮らしを守るのが政府の役割である。日米間の緊密な安全保障体制は重要だとしても、安倍政権は地位協定の改定など沖縄の基地負担軽減に向けて本気で取り組むべきだ。
 東日本大震災からこの3月で7年となる。東京電力福島第1原発事故の廃炉作業は先が見えず、原因究明も十分でない。一方で、政府は電力の安定供給を理由に原発活用の姿勢を崩していない。
 経済産業省は現在、国のエネルギー基本計画の見直し作業を進めている。「30年度に電力供給の20~22%を原子力で賄う」との目標を見直さないばかりか、建て替えや新設の重要性にも言及することを検討し、むしろ原発への傾斜を強めている。
 火山の噴火や地震など、自然災害が頻発する日本に原発は適しているのか。福島原発事故の教訓が生かされているとは思えない。
 国民の多くは原発の将来に懐疑的な視線を向けている。今年こそ市民の意見や世論を反映させたエネルギー政策にかじを切ってもらいたい。