[南北会談] 局面打開につながるか
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 半島情勢の緊張緩和につながる糸口になるのか注視したい。
 韓国と北朝鮮の南北高官級会談が9日、板門店で開かれることが決まった。南北当局者会談は2015年12月以来、昨年5月に韓国で文在寅(ムンジェイン)政権が発足してからは初めてである。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は年頭の施政方針演説「新年の辞」で、韓国で2月にある平昌(ピョンチャン)冬季五輪への代表団派遣を含め南北関係改善への意欲を表明した。
 演説直後に韓国は北朝鮮の対話姿勢を前向きに受け止め、高官級協議の早期再開を提案した。これに北朝鮮が呼応した形である。
 北朝鮮は、2年近く断絶していた板門店に設置されている南北の直通電話回線による連絡チャンネルを復活させた。
 南北が対話を再開し、五輪を通じて融和を図ることは望ましい。
 だが、核・ミサイル開発を続けながらの対話攻勢が国際社会からの一層の制裁圧力や、米国との軍事的衝突を回避するために韓国を引き入れようとする狙いなら局面打開には程遠い。
 核実験や弾道ミサイルの試射を中断するなど、具体的な行動が伴わなければ説得力はないことを北朝鮮は知るべきだ。
 新年の辞で金委員長は核戦力の実戦配備に言及し、「核のボタンが机上にある」と米国をけん制した。一方、韓国には一転して融和姿勢を示した。
 韓国を引きつけて日米韓の連携や米韓同盟にくさびを打ち込む戦略ではないのか。
 さらには国際的な圧力包囲網に穴をあけ、制裁一辺倒の北朝鮮政策に一定の距離を置く中国やロシアに韓国を加えて対話陣営を構築し、トランプ政権に交渉を迫ろうとしているとも考えられる。
 韓国に求められるのは慎重な対応である。文大統領は政権発足当初から南北対話を呼び掛け、7月には軍事会談と赤十字会談を提案した。
 これを半年近く無視し続けてきた北朝鮮が、平昌五輪開幕を1カ月後に控えた今になって対話攻勢を仕掛けてきたのはなぜか。韓国はその理由を冷静に分析することが求められる。
 韓国は、日米をはじめ国際社会に南北対話の意義と北朝鮮の非核化の関係についてどのような戦略を描いているのか説明する必要がある。
 米本土攻撃の能力獲得というゴールが目前となった今、北朝鮮が核戦力を放棄することはあり得ないとの見方は強い。
 南北対話の真価が問われるのは五輪後だ。