[南北会談] 関係改善を探る一歩に
( 1/10 付 )

 韓国と北朝鮮の南北当局間会談がきのう板門店で開かれ、北朝鮮が来月の平昌冬季五輪への参加を正式に表明した。
 韓国の文在寅政権は北朝鮮の五輪参加を実現させ、緊張緩和につなげたい考えを示していた。それだけに待ちわびた回答だろう。
 北朝鮮も国際社会から孤立を深める中、対話局面に入ったことを強調する狙いがあったようだ。
 その意味では双方の思惑が合致した形だ。南北が平昌五輪を機に歩み寄り、関係改善を探る一歩になるなら前進に違いない。
 だが、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する兆しはない。五輪参加するからといって過度の期待は禁物だ。
 韓国をはじめ国際社会は、北朝鮮の真意や今後の動きを慎重に見極める必要がある。日米韓にくさびを打ち込むための一時的な「平和の祭典」の政治利用であってはならない。
 南北会談は2年1カ月ぶりである。金正恩朝鮮労働党委員長が1日の「新年の辞」で、「平昌五輪が成功裏に開催されることを心から願う」と明言したことがきっかけだ。
 米韓はこれを受け、平昌五輪・パラリンピック中の米韓合同軍事演習を見送り、一気に会談の環境が整った。
 会談では、韓国側が五輪での合同入場行進や合同応援を行うよう要請したという。
 北朝鮮の五輪参加に異論はない。しかし唐突な融和姿勢は額面通りに受け取れそうにない。
 というのも新年の辞では韓国との関係改善を訴える一方で、核弾頭と弾道ミサイルの量産化や実戦配備の方針を打ち出しているからだ。核戦力で米国の脅威を抑止するとの立場を変えていない。
 五輪参加は韓国を引きつけて米国の動きを封じる戦術だとの見方が強い。国際社会の圧力強化に歯止めをかけたいという思惑ものぞく。
 留意したいのは、平昌五輪に伴い延期された軍事演習が過去にも北朝鮮の「交渉カード」として利用されてきたことだ。
 米韓は1994年、北朝鮮が核開発の凍結に応じた米朝枠組み合意をきっかけに合同軍事演習を中止した。にもかかわらず北朝鮮は合意を破り、核・ミサイル開発を続けてきた。
 北朝鮮が米全土を射程に収める核戦力を完成させるために「五輪休戦」で時間稼ぎをする狙いがあれば、トランプ米政権は軍事的圧力を強めるだろう。朝鮮半島の平和実現には非核化しかないことを北朝鮮は知るべきだ。