[出生数最少] より実効性ある対策を
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 どうしたら少子化を食い止められるのか。だれもが安心して出産や子育てのできる社会の実現に向け、改めて難題を突き付けられたといえよう。
 厚生労働省が公表した人口動態統計の年間推計によると、2017年に生まれた赤ちゃんは1899年以降最少の94万1000人となる見通しだ。2年連続で100万人を割り込む。
 少子化は国力の低下を招きかねない。政府は子育て世代の現状や意向を細かく把握して、より実効性のある対策を早急に打ち出す必要がある。
 主な出産世代の20~30代の女性が減り続け、晩婚・晩産化も進む中、出生数の減少はある程度予想されていた。ただ、前年より約3万6000人も減り一気に95万人を下回るとの見込みは、想定以上に速いペースだ。
 このままでは、16年に1.44だった合計特殊出生率が政府の掲げる「25年度末までに1.8」に達するのは極めて困難だ。
 国立社会保障・人口問題研究所は、約50年後の人口は約8808万人まで減り、年間出生数は55万人程度と推計している。
 政府は止まらない少子化を「国難」と位置づけ、来年度予算案に待機児童対策などの少子化対策費約2兆円を盛り込んだ。
 だが、出産や子育ての情報提供に取り組む公益財団法人の17年調査によると、回答者約3000人の約7割が「日本は子どもを産みやすい国に近づいていない」としている。
 国の対策はボリュームとスピードが不足してはいないか。施策がニーズに合致しているか検証も欠かせない。
 2人目以降の出産をためらう傾向も依然強いという。この「第2子の壁」を破るには育児環境の改善に加え、教育にかかる経済的な負担軽減に力を注ぐ必要がある。
 併せて、人口動態統計で目を引くのが死亡数の増加だ。戦後最多の134万4000人で、死亡数から出生数を引いた自然減は過去最大の40万3000人と推計される。中核市クラスの自治体が消滅するような規模だ。
 出生数の劇的な改善が望めない現実を見据え、人口減や超高齢化を前提にした新たな社会システムの構築を本格的に模索する必要がある。
 税金や社会保険料を負担する現役世代が減ることで、医療や介護、年金など社会保障制度の見直しが迫られる。労働現場では生産性を高める手だてが欠かせない。
 かつてない人口減社会の到来に向け、準備を怠ってはならない。