[商工中金改革] 解体的出直しの覚悟で
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 不正融資が横行していた商工中金について、経済産業省の有識者会議が改革案をまとめた。
 不正の温床となった公的制度「危機対応融資」を縮小した上で業務を抜本的に見直し、新たな収益源を開拓する。4年後に完全民営化の可否を判断するよう提言している。
 完全民営化は2008年に商工中金法で定められたが、法改正で何度も伸び、事実上無期限延期になってきた。民業圧迫のひずみが指摘され、現状のような政府系金融機関の存在意義自体に疑問を呈する声もある。
 商工中金が存続を望むなら、解体的出直しの決意で改革を進めなければならない。
 次期社長には、プリンスホテル取締役常務執行役員の関根正裕氏が内定した。歴代トップは経産省出身者だったが、改革を民間出身者に委ねるのは当然だ。
 関根氏はかつての第一勧業銀行や西武グループで構造改革による企業再建の経験がある。存分に手腕を発揮してほしい。
 有識者会議は取締役会の過半数を社外取締役にすることや、経営を監視する第三者機関の設置も提言している。
 経産省の中には天下り先を確保するためにも、完全民営化を回避したい意向があるようだ。こうしたぬるま湯体質と決別するためにも、経営を一新する外部人材の選定が不可欠である。
 原則撤退する危機対応融資は現在の業務の柱だ。08年のリーマン・ショックでは地銀が貸し渋りに走る中、低利融資で地場企業を救った。中小企業にとって低利融資は貴重なセーフティーネットだ。
 しかし、低利を武器に書類を改ざんしてまで本来対象とならない優良企業に融資し、組織の存続と拡大に走った過去は消えない。低利の原資が税金であることを考えれば、到底容認はできない。
 提言が危機対応業務について災害時やリーマン・ショック級の経済危機に限定したのは、厳しい世論を反映したものだろう。
 今後は中小企業の経営改善や事業再生に注力することになる。民間金融機関とすみ分けしつつ、活路を切り開かなければならない。
 提言に法的拘束力はなく、4年間の期限もうやむやになる懸念もある。有識者会議の川村雄介座長(大和総研副理事長)は「民営化ができなければ市場から退場だ」と強調した。
 中小企業に信頼され、地域活性化に貢献する地位を獲得できるか。できなければ事業継続はないと覚悟して、商工中金は再生に取り組むべきだ。