[尖閣沖中国艦] 日中間の緊張を高める
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 日本側の出方を試そうとしたのか。あるいは既成事実をつくろうとしているのか。
 中国海軍のフリゲート艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に進入し、同時に潜水艦も潜った状態で航行した。
 中国軍艦が尖閣周辺の接続水域を航行したのは2016年6月以来2度目である。中国の潜水艦が同接続水域で確認されたのは初めてという。
 接続水域は国連海洋法条約上、艦船を含む外国船舶は沿岸国の安全を脅かさない限り、自由に航行する権利があるとされる。
 だが、中国は尖閣諸島を自国の領土と主張している。日中間に雪解けの兆しが見える中、水を差す行為であることは明らかだ。
 中国はこれまでも尖閣諸島周辺の接続水域に公船を頻繁に派遣したり、日本領海内の航行を繰り返したりしている。
 こうした動きは両国間の緊張を高めるだけであり、中国は行動を慎むべきだ。日本は中国側の意図を読み解き毅然(きぜん)とした姿勢を示す必要がある。
 海上自衛隊の艦船が11日、接続水域を進む潜水艦を追尾。これを追いかける形で中国のフリゲート艦が接続水域に入った。潜水艦は12日に公海上で中国国旗を掲げたという。
 外務省の杉山晋輔事務次官は中国の程永華駐日大使に「新たな形での一方的な現状変更だ」と厳重抗議した。
 これに対し中国国防省は「正当で合法的な行動」と主張。「あらゆる必要な措置を取り、領土主権を守り抜く」と反発している。
 日本政府は外交ルートを通じ、事実関係の説明を中国側に求める方針だ。習近平国家主席の早期来日を目指す安倍晋三首相は、事態を悪化させずに沈静化を図りたい考えに違いない。
 北朝鮮問題での連携と日中韓首脳会談の日本開催のため、政府は河野太郎外相を今月中に訪中させたい考えだ。
 しかし、展開次第では改善傾向の日中関係に影響を与える可能性もある。
 中国の習指導部は昨年の共産党大会で「強国」建設を新たな国家目標に据えた。海洋進出を一段と活発化させる狙いだろう。
 だが、日本との偶発的な軍事衝突は日本の同盟国である米国との対立を招きかねない。対日関係の悪化も避けたいはずだ。
 中国は昨年12月、衝突回避に向けた「海空連絡メカニズム」の設置案で日本側と大筋合意した。
 領土問題は国民感情を大きく刺激する。冷静な対応が必要だ。