[長期エネ政策] 具体的なシナリオ示せ
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 太陽光などの再生可能エネルギーを「主力電源」とする一方、原発は「選択肢」として依存度を低減する―。
 経済産業省の有識者会議が2050年時点の長期エネルギー政策について報告書をまとめた。
 これまで原発や石炭火力発電などを重視してきたが、再生可能エネルギーの推進に本腰を入れる姿勢を打ち出したのは評価できる。
 原発の再稼働が進まず、温暖化対策が喫緊の課題であることが後押ししたのは間違いない。
 しかし、再生エネや原発などの発電割合や具体的なシナリオは示しておらず、長期戦略としては不十分だ。
 日本は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で、50年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げる。報告書はそのための重要な指針となる。
 政府は今夏、新たなエネルギー基本計画を閣議決定する。再生エネで世界に勝ち抜くため、国が技術開発を全面的に支えるための具体策を盛り込む必要がある。
 原発は東京電力福島第1原発事故以後、安全対策費用がかさみ、安い電源ではないことが明らかになっている。
 電力会社が原発の廃炉を選ぶケースは予想以上に増え、高レベル放射性廃棄物である「核のごみ」の処分地選定もめどがつかない。
 石油などの化石燃料を海外に頼る日本は、効率的な火力発電を得意としてきた。しかし、温室効果ガスの排出が多い火力発電への風当たりも強い。
 もはや再生エネへのシフトは世界的な潮流だ。
 コスト高が課題だったが、国際再生可能エネルギー機関によると、再生エネの発電コストが10年からの7年間に大幅に下落。世界平均で太陽光は73%、陸上の風力は23%下がった。さらに20年までに太陽光のコストは半減する可能性があるという。
 今後、技術の進展や入札制度の導入などによる価格競争の促進、参入企業の増加がコスト減の要因になりそうだ。
 再生エネの普及には、蓄電池の利用や電気をいったん水素に変換し貯蔵して使うなどの高度な技術が必要だ。日本の技術力向上が待たれる。
 主力電源として活用するには、固定価格買い取り制度による補助がなくても採算が合うようにすることが欠かせない。
 福島原発事故から7年。原発に対する世論の反発は根強い。「脱原発」に向け、あらゆる手だてを総動員して国際的な競争に負けないようにしなければならない。