
鹿児島県内の小学生がプログラミングのアイデアや技術を競う南日本小学生プログラミング大会(南日本新聞社主催、鹿児島信用金庫、南日本情報処理センター協賛)が昨年12月3日、鹿児島市の南日本新聞会館みなみホールであった。プログラミング教育が小学校で必修化された2020年度に始まり、今回で3回目。優秀賞に選ばれた4~6年生10人が「みんなのみらい」をテーマに制作したゲームやアプリを発表した。最優秀賞に輝いたプログラミング教室・iTeen奄美ティダモール校の染拓真さん(奄美市伊津部小6年)は、3月5日に東京で開かれる全国大会に鹿児島県代表として出場する。入賞者を紹介する。
2022年度全国選抜小学生プログラミング大会は3月5日(日)東京国際フォーラムで開催されます。都道府県代表のプレゼンテーションは公式サイト(https://zsjk.jp/)内の特設コーナーでライブ配信します。
最優秀賞
「奄美大島を楽しもうゲーム!」
iTeen奄美ティダモール校
(奄美市伊津部小6年)
鶏飯やアマミノクロウサギを題材に、奄美を訪れた男女がその魅力を紹介するアプリを制作。審査員から高い評価を得た。「多くの人に、奄美の良さが伝わってうれしかった」と喜んだ。
小1の時、父・真人さんの勧めでプログラミングに触れた。小4の時、神奈川県から真人さんの郷里・奄美に一家でUターン。2021年に奄美・沖縄が世界自然遺産登録されたのを受け「世界中に発信したい」と奄美をPRするゲーム制作を思い立った。鶏飯作りなど二つのゲームアプリを組み合わせるのに苦労したが、原永秀浩先生の助言でうまく作り上げた。
伊津部小の「さざ波バンド」でもメーンの一つであるやぐら太鼓を担当するなど中心的存在。全国大会に向けて「鹿児島県内にたくさんある離島の一つ・奄美大島の魅力を大いにアピールしたい」と上位入賞に意欲を見せた。
特別賞 鹿児島信用金庫賞
「計算で戦う計算ドリル!」
鹿児島大学付属小5年
自分が苦手な計算を「他の人も得意になれるように」と、1年生から6年生まで、学年別計算ドリルのアプリを制作。身近な課題解決にプログラミングを活用した点などが評価された。6年生の設問は、通学路が同じ上級生に聞き取りして作成した。本番前、指導する森永崇行教諭に「いつも通りやればいいよ」と励まされ、好結果につながった。「人の役に立つプログラマー」になるのが夢で、入賞が「やる気につながった」とはにかんだ。
特別賞 南日本情報処理センター賞
「稼ぐぞ! 鹿児島!
かんぱち養殖ゲーム」
IT Kids LaB(鹿児島大付属小5年)
鹿児島県が養殖生産量日本一を誇るカンパチに着目。稚魚を買って育てて出荷してコインを稼ぐゲームアプリを作成した。釣りが好きで、魚について調べるうちにカンパチがおいしいことを知り、ゲーム化を思い立った。鹿屋市漁協で職員に取材するなど「取り組みを通じて、新たな鹿児島の魅力を知った」と振り返る。将来の夢は面白いゲームを作るプログラマー。「今回の受賞は自信になった。今後はさらにアプリに磨きを掛けたい」と意欲を見せた。
団体賞
IT Kids LaB
今回も優秀賞の10人中6人を教室生が占め、念願の初受賞を果たした。自らも1児の母である伊牟田雅子代表が「これからを生きる子どもたちに、何か1つ自分の強みを見いだしてもらいたい」と、プログラミングを中心にデジタル技術の全般を体験する教室として2019年に始めた。伊牟田代表は「身の回りの課題解決のアイデアや、思いを表現する楽しさを子どもたちに伝えられたら」と意欲的。3年連続優秀賞の安部日理さん(鹿大付属小5年)は「みんなで頑張った成果」と喜んだ。
本大会には昨年度を上回る87作品の応募がありました。「みんなのみらい」について考え,制作している姿が目に浮かぶ素晴らしい作品ばかりでした。応募された皆さんに拍手を送りたいと思います。
中でも最終審査にノミネートされた優秀賞10作品は、発想力、表現力に優れ、高い技術力をもったものでした。自分のアイデアを形にするために、何度も修正しながら根気強く取り組むたいへんな作業だったのではないでしょうか。
プログラミングは、身の回りにある課題を見つけて解決方法を考え、それを形にしていくものです。作品を通して一番伝えたいことは何か、誰に使ってもらうのか、表現する方法はシミュレーションなのか、ゲームなのかなど、皆さんの思いと創意工夫が詰め込まれて世界に一つの作品が生まれます。
今回入賞した作品は、発想・表現・技術で、どんな工夫がされているのかを知ることで皆さんはさらに成長するものと思います。楽しみながらプログラミングを続け、次年度の本大会に、またすてきな作品を応募してください。
情報教育研修課 課長
■プログラミングって何?
コンピューターにやってほしいことを、コンピューターが分かる言語で組み立てること。暮らしの中で使うスマートフォン、タブレット、パソコン、テレビゲームなどは、プログラミングによって動いている。プログラミングに必要とされる論理的な思考力や表現力を教育に取り込むため、プログラミング教育が2020年度から小学校で必修化された。