散歩の途中でいつも立ち寄る倒木の上でくつろぐソヨコさん=2021年11月、鹿児島市

散歩の途中でいつも立ち寄る倒木の上でくつろぐソヨコさん=2021年11月、鹿児島市


猫が犬化? 散歩、一芸、やけに従順…

 ソヨコさん(雌猫・推定8歳)は昨年11月下旬、飼い主の上野光代さん(49)と鹿児島市郊外の空き地を気持ちよさそうに散歩していた。色鮮やかなハーネスに赤いひも。小春日和の青空の下、雑草を食べたり、あちこちの匂いを嗅いだりしながらゆっくりと歩く。「ほとんどソヨコの自由。こちらに主導権はありません」と上野さん。

 飼い始めた当時、恋しそうに窓の外を見つめるソヨコさんが気になっていた。試しに抱いて外の空気に触れさせると、鼻をぴくぴくと動かし、うれしそうな表情に。ハーネスやリードを買い、3年ほど前から散歩を始めた。最近は毎朝、玄関近くで「散歩の時間ですよ」と言わんばかりにじっと見つめてくる。「家では見られない顔を見られてうれしい」

 同市の高橋美智さん(35)が昨年夏から飼う雌猫の思楽(すーら)さん(8カ月)。高橋さんが投げたボールを取りに行き、持ってくる。台所で調理中、おもちゃを数個くわえてきて、並べることもある。「教えなくても自然と持ってくるようになった。『遊んでくれる』と覚えたのかも」と目を細める。

 専門家も猫の“犬化”を肌で感じている。50年近く犬や猫を治療、診察してきた同市下荒田1丁目の獣医師鶴田勉さん(72)もその一人だ。

 獣医師になった頃、猫は診察台でじっとせず、室内を走り回って苦労した。引っかかれたり、かみつかれたりは日常茶飯事。手足の動きを制限する「猫袋」が欠かせなかった。今はおとなしく診察や治療を受ける猫が増え、猫袋を使う機会が激減した。「特に3、4年くらい前から猫が犬のよう。従順になった」

 同市坂元町の獣医師浜崎菜央さん(44)は、飼い主からよく話し掛けられる猫ほど芸を身に付けている傾向があると感じる。「幼い頃からそうだと伝わるようになるのだろう」とみる。

 猫は相手との距離を測りながらも、生活する範囲内でコミュニティーを作る。“ボス”のような存在に守られ、安全に暮らす習性があるという。「人との距離が近くなり、猫にとっての“ボス”は飼い主になっているのかも」