2023/01/29 11:33
コロナ下、大打撃を受けた人材派遣業。思い浮かんだのは、稲盛さんの「従業員の幸せを一番に考えて」という言葉。下を向いてる暇はない-私は奮い立った

稲盛和夫さん
■人材派遣会社「清友」専務 赤見美香さん(44)
母が創業した人材派遣会社「清友」(鹿児島市)に23歳で就職し、25歳で常務を任された。周りは自分よりも年上で経験豊富な同僚ばかり。うまく立ち回れない自分がもどかしく、派遣社員の無断欠勤などトラブル対応で「仕事に穴はあけられないが、急なオーダーにも対応しなければ」と追い詰められていった。
救いになったのが稲盛和夫さんの著書にある「感性的な悩みをしない」という心得。ミスを引きずり、人のせいにばかりしていた自分に気付き、深く反省はしても、悔やみ続けず、理性的に行動しようと誓った。
経営塾「盛和塾鹿児島」の門をたたいた2010年は、稲盛さんが日本航空(JAL)再建に着手したころ。塾生が一丸となって塾長を応援しようと、各地で開かれる「塾長例会」にJALを利用して来ていたのが印象的だった。
同郷の若手ということもあり、すぐに名前を覚えてもらえた。初めて握手を交わした時の分厚く、ふわふわした感触が忘れられない。名刺はラミネート加工し常に持ち歩いている。少しでも稲盛さんのようになりたくて、機会を見計らっては「お隣よろしいでしょうか」と駆け寄った。
「会社の規模に関係なく経営者は大切な存在。しっかり雇用して利益を出して、納税することは立派なこと」。何げない会話の中でかけられた言葉がお守りになっている。
新型コロナウイルス感染拡大でイベントが軒並み中止になり、人材派遣業は大打撃を受けた。依頼はほとんどなく、キャンセルの電話が鳴り響く日が3カ月続いた時、浮かんだのが「稲盛さんだったらどうするか」。「従業員の幸せを一番に考えて」という言葉を思い出し、下を向いている暇はない、と奮い立った。
塾長のおかげで考え方が変わり、幸せになれた。会社をしっかり営み、従業員に幸せと感じてもらえるよう努力することが一番の恩返しだと思っている。
(連載「故郷への置き土産 私の稲盛和夫伝」より)

塾長例会前の懇親会で稲盛和夫さんと会話を楽しむ赤見美香さん=2016年10月(本人提供)
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