かごしま明治維新特集
連載
明治維新150年
維新鳴動-かごしま再論-
 日本近代の幕開けとなった明治維新から、2018年で150年。政治や軍事はもとより外交、経済・産業、文化・思想に至るまで制度や社会に一大変革が起こった。王政復古、戊辰戦争、明治改元、廃藩置県―。激動の中で、新政府は新しい国の形を模索した。鹿児島の人々も多分野でかかわり、近代化の礎を築いた。先行研究を踏まえて維新史を考察、「維新鳴動 かごしま再論」と題して1年間連載する。

「維新鳴動 かごしま再論」が本になりました

維新鳴動

 南日本新聞社は明治維新150年企画として2018年1月から1年間連載した「維新鳴動 かごしま再論」=写真=を本にまとめ、2019年12月21日に出版した。

 政治史や軍事史の側面に偏りがちだった「明治維新」を、外交や経済、文化、社会のさまざまな角度から捉え直し、日本の近代化を多面的に再考した。

 新たな研究成果を踏まえ、国内第一線の研究者インタビューを収録。年間通して12部を連載、総括編まで、豊富な資料と客観的な考察で総論する。

 歴史作家・桐野作人さん=出水市出身=は「学術的でありながら、知的好奇心を刺激する読み物。新聞紙上、これほど体系的で多彩な論説を紡ぎ出すとは」と前文に寄せる。

 「維新鳴動 かごしま再論」は四六判、420ページ。税込み1760円。鹿児島県内の主な書店と南日本新聞販売所で販売する。南日本新聞開発センター=099(225)6854。


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第1部
相克のうねり 戊辰戦争
プロローグ 新政府勝利 変革へ (2018/01/01)
 新たな国家建設の道を切り開こうと、薩摩主導による新政府と旧幕府勢力が1年半にわたり相克した「戊辰戦争」をたどる。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
開戦/旧幕軍と薩摩が”私闘” 2018/01/05
錦旗/旧幕 戦意失い慶喜脱出 2018/01/06
軍隊/組織改革迫る一大契機 2018/01/08
無血開城/勝・西郷会談、江戸救う 2018/01/12
彰義隊掃討/新政府勝利し関東安定 2018/01/13
江戸庶民/新政府軍へ恐れや怒り 2018/01/15
奥羽越同盟/「根本」会津 孤立し陥落 2018/01/17
北越東北戦線/長岡奮戦、庄内下り収束 2018/01/18
箱館戦争/榎本降伏し戦乱が終局 2018/01/19
10 戦後処分/庄内と会津に大きな差 2018/01/20
第2部
万国への扉 外交黎明期
プロローグ 新政府、国際法則り対処 (2018/02/15)
 新政府は、西洋列強と対等に向き合う「万国対峙(たいじ)」を目標に掲げた。その一歩は、正当政府として外国から承認を取り付け、外国勢力を追い払う「攘夷(じょうい)」意識を払拭(ふっしょく)することから始まった。外交制度整備はもとより、先進諸国の文物調査・視察など近代化を図り、幕末に諸外国と結んだ不平等条約改正へ向けて模索した。薩摩藩出身者も深く携わった黎明期外交をたどる。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
天皇の公使謁見/「諸国と対等」準備整う 2018/02/16
最初の外交官/慣行を吸収「足場」築く 2018/02/19
"開明派"渡米/文化交流、教育視察に力 2018/02/21
岩倉使節団/首脳、留学生ら100人渡米 2018/02/24
初の条約交渉/森、米国の出方見誤る 2018/02/26
富国の方針/「欧州型」を決定づける 2018/02/28
第3部
創世の模索 近代国家建設
プロローグ 五箇条の御誓文 (2018/03/15)
 徳川幕府の倒壊で、鎌倉時代から続いた武家支配は幕を閉じた。天皇を中心に、欧米と肩を並べる強く新しい国造りへと歩み始めた明治新政府だが、たどるべき道筋は誰の目にも見えてはいなかった。混沌(こんとん)の中、手探りしながら近代国家建設に挑んだ姿を追う。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
東京”遷都”/「因循」を離れ新天地へ 2018/03/16
天皇育成/武士に囲まれ 意識改革 2018/03/17
廃藩置県/突然の断行、久光は抵抗 2018/03/21
武士階級解体/権力移行まるで下克上 2018/03/30
警察組織創設/川路、武士の活路探る 2018/03/31
第4部
富国に挑む 殖産興業
プロローグ 工部省発足 (2018/04/19)
 船出したばかりの明治新政府は、欧米列強と対等に渡り合うため、強い国造りを目指して積極的な「殖産興業」政策に打って出た。政府が主導し先進的な技術を導入。産業革命を促し、各種産業を活発化させて富国を図る「挑戦」が始まった。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
鉄道開業/交通網整備 発展の柱に 2018/04/20
鉱山開発/近代化進め増産を図る 2018/04/21
電信・郵便/通信網で全国つなげる 2018/04/23
内務省発足/博覧会 民業育成へ波及 2018/04/25
紡績・製糸業/薩摩に原点 進む機械化 2018/04/27
企業勃興/五代や渋沢らが先駆け 2018/04/28
第5部
変貌の足音 文明開化
プロローグ 近代西洋の文物 (2018/05/17)
 明治新政府は、近代国家建設のために、欧米先進国の制度や技術だけでなく、衣服や食、建築、慣習など文化・生活面でも欧米式の導入を推し進めた。いわゆる「文明開化」と呼ばれ、都市部から広がり、徐々に変貌していった世相文化を追う。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
西洋料理/牛鍋が流行 政府も奨励 2018/05/18
散髪・洋服/「四民平等」社会を象徴 2018/05/23
銀座煉瓦街/西洋をモデル 憧れ生む 2018/05/25
活版印刷/情報伝達の量と質一変 2018/05/28
太陽暦/財政難から急きょ導入 2018/05/30
6 壬申戸籍/全国対象”国民”定める 2018/06/01
第6部
流浪する神仏 宗教の変革
プロローグ 廃仏毀釈 (2018/06/21)
 「諸事神武創業の始めに原(もとづ)き」―。近代国家建設へと突き進む明治政府が理想としたのは、天皇親政による古代日本の姿だった。天皇家の祖先をまつる神道が重んじられるとともに、全国を廃仏毀釈(きしゃく)の嵐が席巻、寺院や仏像などが破壊され、文化財は危機にさらされた。一方で信教の自由化も進み、宗教観に変革が起こった。激変に流浪した人々の祈りの形を追う。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 天皇神格化/新国家のため神道利用 2018/06/22
2 毀釈への抵抗/”命懸け”で守った信仰 2018/06/23
3 キリスト教解禁/外圧、信者の粘りで公認 2018/06/25
4 ジャポニスム/欧米が熱視線 古物流出 2018/06/27
5 博物館建設/文化財調査、保護へ懸命 2018/06/29
6 古都の復興/天皇家の伝統を”演出” 2018/06/30
第7部
皆学のススメ 近代教育制度
プロローグ 初代文部大臣 (2018/07/19)
 近代国家を目指しひた走る明治政府にとって、教育の力で国民の知識、技術の水準を高めることは国家発展の鍵を握る重要な課題だった。政府は「国民皆学」を目指し、模索を繰り返しながら学校教育制度を整えていった。国の浮沈をかけた近代教育確立の姿を追う。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 国民啓蒙/「明六社」雑誌作り喚起 2018/07/20
2 学校の誕生/急ぐ政府に民衆反発も 2018/07/21
3 大学発足/近代化へ官僚養成急務 2018/07/25
4 医療教育/英医師招き 実践広がる 2018/07/27
5 鹿児島の学府/「造士館」軸に体制確立 2018/07/28
6 教育勅語/徳育、国民教化へ傾倒 2018/07/30
第8部
変容する地方 資本主義化
プロローグ 地租改正 (2018/08/16)
 海外との国交を開き世界市場に飛び込んだ日本が目指す姿は、列強国並みの資本主義国家だった。そのため明治政府は財政を安定化させ、資本を蓄えて各種産業を興し、経済発展を遂げる必要があった。税制度を封建時代の米納から金納へと変え、土地所有権を認める地租改正を断行するなど、さまざまな変革が進み、地方も大きく変容していった。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 市・町・村の発足/中央”支配”が順次確立 2018/08/17
2 秩禄処分/生活激変、あえぐ士族 2018/08/18
3 鹿児島の殖産/士族支援へ授産場整備 2018/08/20
4 製糖と島民/近代化の荒波に“翻弄” 2018/08/22
5 松方デフレ/物価沈静化 農村に打撃 2018/08/24
6 布衣の農相/地域振興掲げ全国行脚 2018/08/25
第9部
転機の外交 覇権主義胎動
プロローグ 征韓論争 (2018/09/20)
 明治政府は欧米諸国との不平等条約改正だけでなく、隣国の朝鮮や中国・清(しん)と条約による国交を締結するという課題にも向き合う必要があった。しかし、近代国際法にのっとる日本は、中国を中心とした東アジア独特の国際秩序との衝突を避けられなかった。不平士族ら対外強硬派が絡む外交問題は、政府が分裂し西郷隆盛らが下野した「征韓論政変」の後、転機を迎えることとなった。大久保利通が主導し、推し進めた東アジア外交を中心にたどる。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 大久保政権/政変後、士族対策に直面 2018/09/21
2 徴兵制/「国民皆兵」の軍隊誕生 2018/09/22
3 台湾出兵/大久保が交渉、避戦貫く 2018/09/26
4 琉球併合/日本に帰属、国境画す 2018/09/28
5 日朝修好条規/朝鮮開国へ”砲艦”圧力 2018/09/29
第10部
良妻賢母の呪縛 女性の地位
プロローグ 女子留学生 (2018/10/18)
 急速な近代化は女性たちの暮らしや人生も変えた。錦絵に描かれた色鮮やかなドレスの貴婦人や袴(はかま)にたすきがけの女工たちは開明の象徴となった。しかし、彼女たちへの称賛は、富国強兵を担う男子を育て支える「良妻賢母」であることが前提となっていた。欧米化と封建的価値観との間で、もがきながら進んでいった女性たちの足跡を追う。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 女学校創立/理想を追求し私学続々 2018/10/19
2 看護婦・工女/近代化支え自活の道へ 2018/10/20
3 美人写真/憧れと階級社会を映す 2018/10/24
4 民法制定/「個人」と「家」優位論争 2018/10/26
5 洋装の皇后/新時代を象徴し“変身” 2018/10/27
第11部
藩閥批判の嵐 自由民権運動と士族反乱
プロローグ 民撰議院設立建白書 (2018/11/15)
 維新に成功し、封建制度に終止符を打った明治政府だったが、その体制は「有司専制」、大久保利通ら一部の藩閥官僚による“専制政治”との批判を浴びた。公議輿論(よろん)を掲げて船出した新政府に対する失望や不満は、言論や士族反乱という形で表面化し始める。その批判と争論の嵐は、歩み始めた新国家を大きく揺るがした。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 議会制度導入/「公議輿論」目指し模索 2018/11/16
2 広がる気運/憲法制定や議会へ道筋 2018/11/19
3 言論統制/弾圧にも不屈、世論喚起 2018/11/21
4 佐賀の乱/有司打破へ江藤ら蜂起 2018/11/23
5 相次ぐ反乱/勝算度外視で意地示す 2018/11/24
第12部
志士の終幕 西南戦争
プロローグ 薩軍蜂起 (2018/12/6)
 不平士族(武士)による政府への最後の武力抵抗となった「西南戦争」が、明治10(1877)年2月に起こった。両軍合わせて約10万人が動員され、7カ月に及ぶ「国内最大規模の内戦」となった。最終的に政府側の勝利で、武士の世が終わりを告げ、維新を駆け抜けた志士たちが“終幕”を迎えた転換点をたどる。
※この連載は1回目のみ全文を掲載します。
1 巨星墜つ/九州を転戦、薩軍が敗北 2018/12/07
2 薩軍の横暴/反対者や家族まで処断 2018/12/12
3 戦場/犠牲になった熊本民衆 2018/12/14
4 九州一円/士族ら同調「西郷札」も 2018/12/15
5 庄内との絆/若者2人 西郷に殉じる 2018/12/17
6 西郷星/錦絵に託された英雄像 2018/12/19
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