こんにちは、赤ちゃん。
 新型コロナウイルスの影響を受けながらも、2020年、鹿児島県内でも多くの新しい命が誕生しました。コロナの収束は見通せませんが、日々成長を見せる赤ちゃんは希望の光。コロナ禍の妊娠や出産を振り返り、安心して子どもを生み育てるためにあってほしい支援や子育てへの思いを、オンライン座談会で7家族が語り合いました。
(2020年12月12日、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って開催)

子育てオンライン座談会

参加者

  • 参加した保護者の名前
  • お子さんの名前(誕生日。いずれも2020年)
  • お住まいの市町村
  • お子さんの様子をひと言
  • 外室喜英さん・久枝さん
  • 第2子葵梛(あいな)ちゃん(4月5日生まれ)
  • 鹿児島市
  • 両手を放してしっかりお座りできるようになりました。
  • 中野由貴さん
  • 第1子蒼唯(あおい)ちゃん(9月5日生まれ)
  • 鹿児島市
  • ちょっとずつ首が座り始めました。
  • 鮫島新也さん・なつみさん
  • 第1子新梧(しんご)ちゃん(7月31日生まれ)
  • 大崎町
  • 目が合ったらにこっと笑ってくれるようになりました。
  • 上野博文さん・純子さん
  • 第3子穂高(ほだか)ちゃん(8月18日生まれ)
  • 南九州市
  • よく笑います。上2人のお姉ちゃんとにぎやか3兄弟です。
  • 大岩根尚さん・由加里さん
  • 第1子禅(ぜん)ちゃん(5月26日生まれ)
  • 三島村硫黄島
  • 人口約120人の島。外に出ると、みんなが「抱かせて」と寄ってきてくれます。
  • 小徳羅漢さん・由梨絵さん
  • 第1子友理(ゆうり)ちゃん(10月27日生まれ)
  • 奄美市
  • 生後1カ月で、直接母乳を飲めるようになりました。日々成長しています。
  • 下薗未希さん
  • 1月に第3子を出産予定
  • 鹿児島市
  • 次男(5)が「大人になったらママと結婚したい」と言ってくれました。

Q.コロナ禍での妊娠・出産・子育て、大変だったことはなんですか?

感染の不安
鮫島なつみさん

妊娠中、病院で看護師として働いていたので、コロナに感染したらどうしようと不安でした。

下薗未希さん

菓子販売をしているのですが、昨年7月に鹿児島市でクラスター(感染者集団)が発生したときや、「Go To キャンペーン」で県外からのお客さんが増えてきたときは感染しないか不安でした。

大岩根由加里さん

そのクラスターが発生した日、鹿児島市内にいて私が高熱を出しました。2カ所の病院で、発熱者は院内に立ち入れず、車の助手席から防護服を来た医師に熱や脈を測ってもらうだけでした。
「もしコロナで子どもにうつしたらどうしよう」と不安で授乳できず、泣きながら保健所に電話し、薦めてもらった病院でやっとレントゲンや尿検査を受けて、扁桃炎(へんとうえん)と診断されました。妊婦だけでなく、産後の親も感染の不安を抱えています。ちゃんと受診して安心できる仕組みがほしいです。

寂しさ
小徳由梨絵さん

産婦人科での母親学級が中止になってしまったので、最後までお産のイメージを持てないままでした。

中野由貴さん

夫は出産当日のみ立ち会えましたが、妊婦健診や産後は1人でさみしかったです。妊娠中はマタニティヨガをやってみたかったのですが、教室が中止で残念でした。

兄弟の登園自粛
外室喜英さん・久枝さん

緊急事態宣言が全国に拡大された昨年4月、長男(2)が通う保育園が登園自粛を呼び掛けました。ちょうど産後で体がきつかったので、長男を預けたかったのですが。喜英さんの両親に来てもらってみんなで何とか乗り切りました。コロナじゃなかったらうまくいったことがうまくいかない、という思いがありました。

Q.現在困っていることや不安なこと、あったらいいなと思う支援はなんですか?

赤ちゃんの感染対策
鮫島新也さん・なつみさん

赤ちゃんをコロナからどう守ってあげたらいいか、不安です。外出は自家用車にしていますが、赤ちゃんにマスクはなかなかできません。実家を頼れないときに、子どもを預けられるところがあればいいなと思いますが、感染が不安です。

パパ置いてけぼり
小徳羅漢さん

産科医をしています。コロナ禍では夫が出産や育児に対し”置いてけぼり”になりがちだと感じます。健診への付き添いが制限され、妊婦が1人で健診に行って白黒のエコー写真を持ち帰って見せるだけでは、夫が気持ちを持ち上げにくいでしょう。夫にも妊婦の状態を共有してもらうことが課題だと感じます。

職場や周囲の支援必要
上野純子さん

長女(小2)と次女(6)の休校や登園自粛期間は、1人で2人を見なくてはなりませんでしたが、私のお腹が大きく、あまり遊んであげられなかったのでかわいそうでした。夫は飲み会などがなくなり、早く帰宅する日が増えたので、家事をしてもらえ助かりました。かえって一家で団結して乗り越えたとも思います。

上野博文さん

上の子も見なくてはならないとなると妊産婦の負担は大きいと思います。職場も、子育て中の男性職員を早く帰宅させたり、育休を取得させたりするなど、バックアップが必要だと感じました。

大岩根尚さん

島のガイドの仕事がコロナで減ったため、産前産後を妻とゆっくり過ごすことができ、「人が生まれるって大変なことだ」と実感しました。コロナ禍ではそれがもっと大変になりますが、国や県の対応が間に合わないこともあります。助産師や保健師が自由にきめ細やかに動ける仕組みや、助けてもらえるご近所づきあいが大切だと改めて思いました。

Q.これからのお子さんとやってみたいことや座談会の感想をお願いします。

外室久枝さん

ベビーマッサージなど、赤ちゃんと楽しめる場に、安心して出掛けたいです。

中野さん

座談会を通して、大変だったのは自分だけじゃなかった、みんな同じ境遇だったとわかりうれしかったです。夫の実家のある東京にも早く連れて行きたいです。

下園さん

コロナ禍で出産された方の話を聞く機会は貴重でした。大変だったけれど家族で団結したと聞き、我が家もがんばろうと思えました!

座談会を終えて

 妊婦一人で出産や産後を過ごさなくてはらないさみしさはいかばかりのものだったか。発熱した親がコロナ感染していないと分かるまで、「子どもにうつしたらどうしよう」と授乳できないことはどれほど辛かっただろうか。座談会を聞いて、社会が感染を押さえ込むために決めたルール(産後の面会制限や発熱者の院内立入制限など…)の陰で、妊産婦や家族が孤独や不安にさらされてしまったという事実を目の当たりにしました。もっと当事者たちに寄り添うことはできないだろうか、と考えさせられます。一方、「コロナのおかげで家族といる時間が増え、寄り添えた」という声に温かさと心強さを感じました。そうした家族の絆や温かさをより支えられる社会であるために、私たちにできる最初の一歩は、職場や地域にいる妊婦さんや小さな子連れのご家族の状況に思いを馳(は)せることかもしれません。(文化生活部記者・門間ゆきの)