
郵送で各世帯に送付された霧島市の選挙公報=11月、霧島市国分
「市長選や市議選の選挙公報が届くのが遅い」。こんな不満が南日本新聞の「こちら373」に届いた。知事選以外の地方選は、公報の配布ルールが自治体の裁量に委ねられている。5~7日という選挙期間の短さも影響し、有権者に届くのは投票日の前日や2日前になる場合もある。期日前投票が年々増える中、配慮と工夫が求められそうだ。
11月14日投開票の霧島市長選・市議選。同市牧園の女性(82)が期日前投票を済ませて帰宅すると選挙公報が届いていた。投票日2日前の12日午前。「もう少し早く届けば、判断材料になったのに」と話す。同市は公報の配布期限を「投票期日前日」と定めている。
候補者の氏名や経歴、政見が書かれ、投票の参考になる選挙公報。公職選挙法は国政選挙と都道府県知事選の公報配布期限を選挙期日2日前と定める。一方、その他の地方選は発行の有無や配布期限も含め県、市町村の条例に基づく。
県選管と南日本新聞の調べで、首長・議員選で公報を発行しているのは全19市とさつま、屋久島、和泊の計22市町。霧島市など9市町が配布期限を「期日前日」、鹿児島市など残る13市は「期日2日前」と定める(2020年末現在)。
霧島市選管によると、今回は11月7日夕方に立候補受け付けを締め切った後、公報を印刷。翌8日から9日にかけて郵便局に持ち込み「配達地域指定郵便物」で有権者に郵送した。
一般的に市長・市議選の選挙期間は7日、町村長・町村議選は5日と短く、日程は厳しい。霧島市選管は「より早く確実に届けようと努力している」と理解を求める。期日前投票所に公報を張り出したり、ホームページに公開したりした。
10月の衆院選では、県内自治体の約半分に当たる24市町村が郵送。そのうち、伊佐市は他の選挙も含め、希望者に窓口で配布する。理由として挙げるのは期日前投票者の増加。国政選、地方選を問わず期日前投票の比重は年々高まっており、霧島市長選は投票者数の約37%を期日前が占めた。
行政法に詳しい鹿児島県立短大の山本敬生准教授は「『早く読みたい』という声に応えるため、投票所での選挙公報配布や、丹念に目が通せる閲覧室の設置も検討すべきだ」と指摘する。

郵便局を通じて全戸配布された霧島市長・市議選の選挙公報