
現在、飲食店では数多くのキャッシュレスサービスが利用可能だ=鹿児島市金生町のよかど鹿児島
利用できるスマートフォン決済アプリは、なぜ「Payどん」だけなの-。鹿児島市が4月に始めたプレミアムポイント事業について、南日本新聞「こちら373」(こちミナ)に複数の読者から意見が寄せられた。スマホ決済利用者にポイントを還元する事業だが、「(同様の事業を実施した)薩摩川内市は4種類のアプリが使えたのに」の声も。市産業支援課やPayどんを開発した鹿児島銀行に話を聞いた。
同事業は、登録店でPayどんを利用した翌日に、最大25%のポイントを還元する。Payどん利用で利用額の15%が付与され、夜間利用時は5%上乗せ。県の第三者認証店の場合は、さらに5%が加算される仕組みだ。9月30日までの予定で、ポイント付与予定額(1億5400万円)に達した時点で終了する。
飲食店を支援するため同様の事業は薩摩川内市でも5月31日まで行われていた。同市はPayどんを含めた四つのスマホ決済アプリが利用可能で、市が指定する店舗で一律30%還元だった。
薩摩川内市との違いは、対応するスマホ決済アプリの数に加え、第三者認証店への加算の有無だという。鹿児島市産業支援課の高橋卓也課長は「全国的なシェアを考えれば、他のアプリが使えないことに不公平だと感じる人もいると思う」と理解を示しつつ、「県の基準を満たした第三者認証店への支援を加速することも目的。ポイント加算に対応できるのはPayどんだけだった」と説明する。
Payどんは他アプリと比べて飲食店が支払う手数料率が低いことや、決済額の振り込みが翌日に完了するなど、飲食店にとっての利点が大きい側面もある。市内に複数の第三者認証店を構える竹之下登喜子さん(47)は「手元に現金が必要な飲食店にとって、決済額が翌日振り込まれれば、仕入れなどで頭を悩ませることもない」と語る。
一方で、Payどんは現在、利用客と飲食店が共に鹿児島銀行の口座を持っている必要があり、他行を利用している人にとっては導入をためらうケースが多いことも想定される。
また、第三者認証店は鹿児島市内に2296店あるものの、そのうち事業の対象は732店と、約3割にとどまる。利用促進に向けて、高橋課長は「他行の口座も使えるよう、鹿銀に仕様の変更を要望している」と話す。
サービス主幹の鹿銀営業統括部ITビジネス推進室の川崎正人室長は「他行との口座連携については多くの声をいただいている。飲食店に対する現在のサービス水準を下げずに、県民の需要に応えられるよう、スピード感を持って検討したい」と力を込めた。

鹿児島銀行が独自開発したスマートフォン決済アプリ「Payどん」の画面