鹿児島県内の中学校に勤務する管理職の妻から「校長や教頭は、校区内の教員住宅に家族と一緒に住まないといけないの?」という声が南日本新聞の「こちら373」に寄せられた。県教育委員会は「ルールや決まりはない」としている。
県内に住む50代女性は10年ほど前、教頭だった夫から「『単身赴任はだめだ』と教育委員会に言われた」と聞いて驚いた。学校は自宅と同じ自治体内で、車で20分ほどの距離だった。
女性は仕事を持っているわけではなかったが「夫の付属物のように扱われているような気がした。それぞれの家庭の事情がある。夫が校区内に住むとしても、家族が住む場所を選べないのはおかしい」と疑問をぶつける。
県教委は「管理職が家族と一緒に住まなければならないという決まりはない」と説明する。霧島、鹿屋市教委も「家族同居でなければならないというルールはない」としている。
「教頭や校長は家族と一緒に赴任するものという暗黙の了解というか、慣例が以前はあった」。2年前に小学校校長で定年退職した鹿児島市の男性(62)は振り返る。赴任先の教委から要望されたこともあった。
男性は「一緒に転校した自分の子どもたちも、地域の行事などを経験でき人間的に成長した。家族ぐるみでつながることで、地域と学校の連携もスムーズになった」と利点を挙げる。ただ「強制はすべきではない。家族で話し合って決めるべきだ」と話す。
「単身で赴任しても問題ない」と語るのは、志布志市の福田裕生教育長。同市では小中学校の教頭21人中10人、校長は21人中3人が単身赴任という。「それぞれの家庭の事情があり、家族にも仕事や学校がある。同居を強いるような慣例は時代にそぐわない」と指摘する。
地域住民はどうだろうか。薩摩川内市の黒木小学校は児童が減少し、市は上手、藺牟田、大軣(だいごう)小学校と統合する方針を決めている。黒木地区コミュニティ協議会の内ノ倉正己会長(69)は「最近は単身で赴任する先生が多い。昔のように子どもも一緒に来てくれるとありがたいが、それぞれ事情があるので仕方がない」と理解を示した。
県教委によると、小中学校の教員が勤務校の校区内に居住する割合(22年5月1日現在)は、一般教員23.3%、管理職80.9%。同一市町村での居住は一般教員68%、管理職は99.6%となっている。