
児童の登校時間は、隈之城小学校前の道路を多くの車や自転車が通行する(画像の一部を加工しています)=6日午前7時45分すぎ、薩摩川内市隈之城町
鹿児島県薩摩川内市の隈之城小学校前には、片側1車線の県道山田隈之城線(県道336号)が通っている。児童数は約700人。午前7時半すぎ、歩道を次々と登校する中、車道には自家用車やバス、トラックのほか自転車も数多く行き交う。
緩やかなカーブとなった正門前から東に川内南中学校、西にJR隈之城駅があり、交通量は多い。正門から学校敷地に沿って東側の歩道は車道との段差があるが、西側は白線の引かれた狭い路側帯のみだ。
学校は路側帯を通らず、向かい側の防護柵がある道から、押しボタン式の横断歩道を渡って登校するよう指導している。歩道上は信号待ちの児童で混雑することがある。
一方、車道には自転車で通行する中高生が多く、車は中央線をはみ出して追い越していく。時速30キロの速度規制を上回る車も散見される。近くの平峯律子さん(50)は「道幅は狭いが、車がひっきりなしに通る。自転車との接触や、歩道の小学生が巻き込まれる事故が起きないか心配」と話す。
隈之城地区コミュニティ協議会は2014年、県に対して隣接地区と連名で、小学校前や周辺の歩道整備を求める陳情をした。県は駅前の路側帯にカラー舗装をして目立たせたり、新たに歩道を設けたりするなど対応してきた。学校前の横断歩道では昨年2月、信号無視の車に児童がはねられ、けがをする事故が発生。現場手前の路面に減速を促す表示も引き直した。
しかし、道路を広げるといった抜本的な解決には至っていない。県の担当者は「通学路の沿道には民家が立ち並んでいて、事業用地の確保には時間がかかる。県内の他の整備箇所の進行状況も見極める必要があり、早急に整備するのは難しい」と説明する。協議会の赤崎弘煕会長(76)は「道路の塗装の修繕や車道に凹凸を付けるなど、運転手が減速を意識する策を充実させてほしい」と求める。
川内南中は自転車通学生に交通安全教室を開き、事故防止に取り組んできた。正門前に毎日立つ隈之城小の久木田剛校長は「ハード面の環境を変えるのは難しい。児童には日頃から事故に注意するよう呼びかけ、安全指導を徹底していく」と話した。

隈之城小学校前の県道は、登校時間に児童や自転車通学の中高生、自動車が多く行き交う=薩摩川内市隈之城町(画像の一部を加工しています)