
点字ブロックがコの字に設置されたマンホールのふた周辺を確認しながら歩く小山義方さん=鹿児島市鴨池新町
歩道の点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)をマンホールの上部分だけコの字形にずらしているのは、視覚障害者にとって歩きにくいのではないか-という疑問が「こちら373」に寄せられた。国のガイドラインは、マンホール上も真っすぐ設置するのが望ましいと示す。指摘のあった歩道を管理する県は「改善を検討する」としている。
読者が気づいたのは、鹿児島市の県庁前(鴨池新町)や港湾合庁前交差点周辺(住吉町、泉町)の県道の歩道上。現地で確認すると、点字ブロックがマンホール部分で迂回(うかい)している形は少なくとも5カ所あった。
県内は10月に全国障害者スポーツ大会を控え、多くの視覚障害者の来訪が見込まれる。当事者はどう感じるのか。視覚障害者らを支援するNPO法人「光の会」理事長で全盲の小山義方さん(53)に県庁近くの現場を歩いてもらった。白杖(はくじょう)を使う小山さんは「点字ブロックを頼りに歩いていたら、急に歩道を外れたと思うかも」。コの字の部分が分かりにくいと戸惑いを見せた。
1965年に日本で考案された点字ブロックは、徐々に全国に普及。設置は現在、2006年施行のバリアフリー新法や自治体の条例に基づく。
国のガイドライン(22年策定)は、マンホールや側溝のふたを避けるために曲げて設置したり、途切れたりしている例を「改善すべき」と挙げる。国際交通安全学会のガイドライン(08年)も「連続して設置されなくてはならない」と記載。途切れることにより、進行方向を見失う可能性を指摘している。
県庁前の歩道工事完了時期は1996年、合庁前交差点付近は2002年ごろとみられる。発注時期には適正設置の目安がなかったか、認識されていなかった可能性がある。
一方、今回の指摘箇所の近くにはマンホールふたの上に設置している所もある。ばらばらなのは発注側や工事業者に統一した指針が浸透しておらず、補修の機会があっても元通りに設置したことが考えられる。
県によると、県道と県が管理する国道は、計約100キロに点字ブロックが敷設されている。他にも適切でない箇所がある可能性がある。塩屋勝久道路維持課長は「今後はガイドラインを認識した設置に努めたい」と述べた。改善の時期は未定。
県道以外の公道でも同様の例はありそうだ。県視覚障害者団体連合会の田中勉会長(59)は「当事者の意見やガイドラインの内容を、行政や施工者が共有することでより適切な整備につなげてほしい」と求めた。

〈アップで見る〉マンホールを迂回するように設置された点字ブロックを確認する=鹿児島市鴨池新町