発達障害や病気で着用困難 ノーマスクには訳があります 新型コロナ 【愛知】

 2022/07/27 17:30
「マスクをつけられません」と書かれたキーホルダー=しまうま提供
「マスクをつけられません」と書かれたキーホルダー=しまうま提供
 新型コロナウイルスの感染拡大「第七波」が押し寄せる中、「心身の理由でマスクができない人のことが世間に認められていない」という投稿がユースク取材班に寄せられた。入店にはマスク着用が条件の店が多いが、マスク着用が困難な人がカードやバッジで事情を知らせる動きも徐々に広がっている。

 投稿したのは、長男(25)が「高機能自閉症」という愛知県刈谷市の田中亜子さん(59)。長男は脳の機能障害の影響でこだわりが非常に強く、最近は飲食店やスーパーで見た「入店時はマスク着用をお願いします」という張り紙が頭から離れない。マスクの着用を求められた日は、ストレスで下痢や睡眠障害に悩まされる。

 田中さんは長男にマスクを着けるよう何度も説得したが、失敗したという。「『マスクするだけじゃん』と思われがちだけど、息子はその当たり前ができない」と話す。

 国の発達障害情報・支援センターの調査では発達障害がある人のうち56%が「我慢して着用している」「着用が難しい」と回答。厚生労働省は「マスク弱者」に着用を強制しないよう推奨している。

 一部の自治体は、発達障害のほか感覚過敏や呼吸器の病気などの身体的理由で、マスクの着用が難しい人への支援に乗り出している。マスクの着用が困難なことを示したカードやバッジを配布する動きが増えてきた。

 千葉県流山市の心理カウンセリング会社「しまうま」は二〇二〇年六月、「マスクをつけられません」というマークを考案。犬がバツ印の付いたマスクを手にしたデザインで「わけがありますく」と名付けた。愛知県長久手市や三重県伊勢市など全国で約六十の自治体からこのマークの使用の申し込みがあり、各自治体はバッジやカードにして希望者らに配布したり、ホームページで紹介したりしている。

 同社には「マスクなしでは病院に入れず、医療が受けられない」「周りの視線が気になり、買い物ができない」などの悩みが今も寄せられている。しまうまの役員鈴木玲嘉さん(52)は「マスクができない人の認知度が広がっていない」と嘆く。

 取材班からしまうまの活動を聞いた田中さんは「とてもありがたい。第七波によりマスク着用がさらに徹底され、周囲の視線が厳しくなると思うので、マスク弱者の存在がもっと知れ渡ってほしい」と願った。

 個人で「わけがありますく」マークを使用したい場合、しまうまの公式ホームページからダウンロードして印刷できる。問い合わせは、同社=電080(7092)4696=へ。

■ヘルプマークと一緒に意思表示を

 マスクの着用を巡って、厚生労働省は屋外で散歩やランニング、通勤、通学時にマスクの着用は不要とし、特に運動時には外すよう求めている。屋内では人との距離が2メートル以上あり、ほとんど会話をしない時は不要としている。

 ただ、このような条件を満たせない小売店などは入店時にマスク着用を求めている。日本福祉大福祉経営学部の綿(わた)祐二教授(障害者福祉論)は、マスク着用が困難な人がいることを一層発信する必要性を指摘した上で「コンビニや駅など人が立ち寄りやすい場所で発信し、認知度を上げていく必要がある」と話した。

 また「マスクを着けられない意思表示のマークは、援助や配慮を必要としていることを伝える『ヘルプマーク』と一緒に付けると理解を得やすい」と提案した。

(中日新聞提供)
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