「沖縄バスケ」脈々と 人気映画「スラムダンク」 伝説の監督と作者の縁

 2023/02/17 18:10
沖縄バスケット界を長年けん引してきた安里幸男さん=1月18日、うるま市
沖縄バスケット界を長年けん引してきた安里幸男さん=1月18日、うるま市
 人気バスケットボール漫画「スラムダンク」を映画化した「THE FIRST SLAM DUNK」が沖縄でも大ヒットしている。スターシアターズによると「年間の動員数トップ10に入る勢い」。今作は主人公・桜木花道のチームメイトで、沖縄出身の宮城リョータを軸とするストーリーだ。「超速攻」の戦術や幼い競技人口の多さなど、作品を通して沖縄バスケの特徴が見えてくる。

 スラムダンクと沖縄と言えば、ある名将の名が浮かぶ。辺土名高や北谷高を全国3位に導くなど県内の高校バスケを指導者としてけん引してきた安里幸男さん(69)だ。桜木たちが通う湘北高のライバル校、陵南高バスケ部の監督・田岡茂一(もいち)のモデルと言われてきた。

 「(伊佐市出身で、作者の井上雄彦=たけひこ=さんから)直接、モデルと言われたことはない」というが、陵南高が掲げる「勇猛果敢」の横断幕は「北谷と同じ」と安里さん。湘北の赤いユニフォームも北谷のものと似ている。安里さんは「いつの頃からか、周りから田岡に似てると言われるようになった」と話す。

■超速攻バスケ「参考に」 作者・井上雄彦さん(伊佐市出身)、全国3位・北谷を取材

 バスケットボール漫画「スラムダンク」登場人物のモデルとされる安里幸男さんによると、1991年に静岡県での高校総体の際に作者の井上雄彦(たけひこ)さんが訪ねてきて「参考にしていいですかと聞かれた」と明かす。「井上さんは『バスケの漫画は売れないと言われるけど、バスケが面白いスポーツであることを伝えたい』と情熱にあふれていた」と振り返った。

 作中の宮城リョータのような低身長の選手が多い沖縄の高校で、安里さんの戦略は「超速攻」とも言われるスピードと、守りの強化だった。結果、コーチを務めた辺土名は78年に全国3位になり「辺土名旋風」を巻き起こした。

 井上さんが安里さんを訪ねた際の高校総体では3ポイントシュートを磨き、北谷が全国3位に。3点弾、スピード、ディフェンス。安里さんはこれが「(世界の高さと対峙(たいじ)する)日本代表の戦術にもつながっている」と話す。

 留学生を擁する県外の強豪を相手に県勢が全国上位に進むことが難しくなっているが、安里さんは「悲観することはない」と言い切る。「個々のスキルはアップしている」と県内の子どもたちに可能性を見いだしている。

 映画では、宮城が子ども時代にミニバスケットボールでプレーするシーンがある。沖縄ではミニバスケが盛んだ。県バスケットボール協会によると、県内小学校のミニバスケチームの普及率は2019年度で63・1%と全国一だ。沖縄バスケット情報誌「アウトナンバー」GMの金谷康平さん(39)は「沖縄ではバスケが生活に根付いている」と指摘する。

 琉球ゴールデンキングスの活躍でBリーグも盛り上がり、8月にはパリ五輪予選を兼ねるワールドカップ(W杯)も開かれるなどバスケ熱がより高い今年の沖縄。金谷さんは「日本代表が五輪出場を決めた場所になるということが重要だ。沖縄を日本バスケの約束の地にしたい」と熱い思いを語った。
(琉球新報社提供)

映画「THE FIRST SLAM DUNK」は県内でも上映中。キャラクターらのポスターが並ぶ中、観客らがシアターへ向かった=1月27日、南風原町のサザンプレックス
映画「THE FIRST SLAM DUNK」は県内でも上映中。キャラクターらのポスターが並ぶ中、観客らがシアターへ向かった=1月27日、南風原町のサザンプレックス

静岡総体2回戦の桜井(富山)戦で速攻を決める北谷の選手。琉球新報はこの試合を「長身選手をほんろうし尽くした」と報じた。赤ユニフォームは作中の湘北高のものと似ている=1991年8月3日、浜松市体育館
静岡総体2回戦の桜井(富山)戦で速攻を決める北谷の選手。琉球新報はこの試合を「長身選手をほんろうし尽くした」と報じた。赤ユニフォームは作中の湘北高のものと似ている=1991年8月3日、浜松市体育館
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