私たちの暮らしのエネルギー~エネルギーの「今」を考える~

 「わたしたちの暮らしとエネルギー~エネルギーの『今』を考える~」と題して昨年12月3日、鹿児島市の城山観光ホテルでトークセッションが開催されました。九州エネルギー問題懇話会の主催、九州経済産業局、南日本新聞社の後援。セッションは作家の神津カンナさん、俳優で気象予報士の石原良純さんが対談する形で行われ、約200人の聴衆は2人の話を聴きながら、エネルギーについて考えました。

古田 厚子さん
司会 古田 厚子さん
 福岡県生まれ。タレント。株式会社ASPREAD(エスプリード)代表取締役。
作家 神津 カンナ さん
神津 カンナさん
 東京都生まれ。作家。「親離れするとき読む本」はベストセラーになる。執筆活動の他、テレビ、ラジオ出演、講演、公的機関や民間団体の審議委員など数多く務める。
俳優/気象予報士 石原 良純 さん
石原 良純さん
 神奈川県生まれ。俳優として舞台、映画、テレビドラマに出演。1997年気象予報士試験に合格。日本の四季、気象だけでなく地球の自然環境問題にも力を入れている。
神津さん「大切なのはエネルギーの組み合わせ」 / 石原さん「エネルギーにも関心持って」

 -なぜ、今エネルギーについて考える必要があるのですか。

石原 2017年は九州北部豪雨や史上3番目の遅さで上陸した台風21号など、気象にまつわるニュースが多かったですね。「異常気象」と言われる現象は、気象庁の定義では、30年に1度程度起こる出来事とされています。これは人の一生が60年だった時代に、人生で1度か2度遭遇するレベルの出来事を指していたのですが、今はそれ以上のペースで起こっているように感じられます。これは皆さんも何となく実感されているのではないでしょうか。
九州の発電割合  それではなぜ、異常気象が頻発しているのかと言うと、地球の気温や海水温が上昇しているからなんです。

神津 いわゆる「地球温暖化」と言われる現象ですが、これには私たちがエネルギーを使う際に発生するCO2が大きく関わっています。実は、国内のCO2の約4割は発電の際に発生するものなんです。

 -では、九州のエネルギーの状況はどうなっているのでしょう。

神津 これは九州の発電割合を示したグラフ(右図)です。石原さん、これを見てどう思われますか。

石原 九州では原子力発電所が再稼働していますが、やはり多くは天然ガスや石炭などの火力発電なんですね。だけど気になったのは、再生可能エネルギーの割合が高いような気がするんですが…。

全国に占める再生可能エネルギーのシェア

神津 そうなんです。この左図を見てください。
 九州は人口や面積、経済規模などが全国の約1割と言われています。しかし、再生可能エネルギーの導入量で見ると、なんと全国の約2割を占めています。九州は再生可能エネルギーの導入が非常に進んでいるんですね。

 -太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーには、どのような特徴があるのですか。

神津 太陽光発電や風力発電は、日光や風の力を利用して発電するので、資源の少ない日本にとっては、貴重な国産のエネルギーです。また、発電の際にCO2も出しません。一方で、まだまだコストが高いという課題があります。
 加えて、太陽光発電は雨の日や夜間には発電できないし、風力発電も風がやめば止まってしまいます。自然の力を借りているものなので、どうしても「お天気まかせ」になってしまいます。

石原 最新の天気予報技術を以ってしても、天気を完璧に予想することはできません。太陽光や風力の発電量を予想することは、とても難しいことなんです。

1日の太陽光発電の発電量の変化

神津 実は、電気を安定的に使うためには「作る量」と「使う量」を常に同じに保たなければなりません。太陽光発電や風力発電は発電量の予想が難しいので、このバランスがとても取りづらいんですね。
 そのために、他の発電所を動かしたり止めたりして、発電量を調整しているのですが、それにも限界が来つつあるそうです。

 -エネルギーについて考えるにあたって、どのような視点が必要ですか。

神津 安定して使えること、経済的であること、環境に負荷をかけないこと、これらのバランスを取りながら、様々な発電方法を組み合わせることが大切です。例えば、太陽光発電は、貴重な国産のエネルギーで、発電時にCO2を出しませんが、出力は不安定だし、経済性もいまひとつ。石炭発電は安くて、出力も安定していますが、大量のCO2を排出しますし、もし石炭の輸入が止まってしまったら、動かすことができなくなってしまいます。

石原 残念ながら、現時点では全ての要件を満たす完璧な発電方法というのは存在しないということですね。じゃあどうすればいいのかというと、先ほど神津さんがおっしゃったように、大切なのはバランス。つまり、様々な発電方法の長所と短所を組み合わせて、欠点を補い合う「エネルギーミックス」を実現することが大切なんです。

 -私たち生活者に、何かできることはありますか。

神津 テレビのコンセントを差し込んだままだと、テレビを消していても待機電力が発生することは、ご存じの方も多いと思います。そのことにみんなが気づき始めてから、テレビの待機電力はぐっと減りました。だからまず、私たち一人ひとりがエネルギーについて知ることが大切です。知ると世の中が変わる可能性があります。
会場の様子  ハウスで栽培したキュウリには、露地栽培と比べて5倍強のエネルギーが使われています。キュウリを1年中食べるために、これだけのエネルギーが投入されているんです。だからキュウリを食べることは、エネルギーを食べることだと言えるかもしれません。皆さんも今度キュウリを食べる際には、エネルギーについて考えてみてください。

石原 皆さんが何かものを買う時には、安心安全、品質、価格などを考えながら商品を選んでいると思います。僕は、これにプラスワンしてエネルギーや環境についても考えてほしいと思います。
 地球の気温が2度上がると、後戻りできない影響が出ると言われています。産業革命以降、既に地球の気温は約1度上昇しています。僕たちの世代までは何とかなるかもしれませんが、次の世代も幸せに暮らせるかというと疑問符が付くような気がします。
 皆さんは日々の生活の中で、さまざまなストレスがあるかと思いますが、どこまでも広がる青空を見ていると、なんだかほっとしませんか。皆さんもたまには空を見上げながら、ゆっくりとエネルギーについて考えてみてください。

主催:九州エネルギー問題懇話会  後援:南日本新聞社・九州経済産業局  協力:九州電力