奄美群島応援コラム奄美なひとときAmami na Hitotoki


奄美へ ツンデレ・ラブレター
author: 重 尚樹(更新日:2015年4月9日)

島ノコタチ ART WORKSは奄美市長浜町で営業
クリエイティブとふるさと
大阪から島ッチュ二世として、移り住んではや9年。
僕は今「クリエイティブとふるさと」をテーマにデザインのお仕事をする『島のコタチ』というお店を営んでいます。広告、ロゴ、イラスト、パッケージ、映像、Tシャツ。モノ作りの中でよく思うのは、島と島ッチュへの憧れ。本土での暮らしでは考える事のなかった人間関係のあり方や故郷という感覚を、この島にずっと教えてもらっています。
僕の親は、島出身。僕は、大阪出身で島に移住。昨年生まれた息子は、やはり島出身。で、いつかまた、本土へいく。
親は、本土に希望を見いだし、僕は、島に希望を見いだし、息子は。。。
「本土への憧れと故郷の再認識のくりかえし」
このえも言われぬ気持ちを表現しようとよく話をし、モノ作りを一緒にする仲間がいます。
その仲間とは浜田政信(ハマダ マサノブ)という男。
愛と笑いをモットーに、奄美大島でクリエイティブ・コミュニケーションチーム『シマスタジオ』を立ち上げ、執筆活動やあまみFMの番組「はまだまーぼのあっただんまドゥシ!」パーソナリティー、風景デザイナーと多岐にわたって活躍している方です。
そして、今日もまた彼を呼んでしまいました。

青い海と爽快感のイメージに誘われて
コラム内で勝手に対談(1) ~移住したての理想と妄想編~
重:浜田さん、対談テーマを「島への理想と現実」という事で宜しくお願いします。
浜田:ここの過去のコラム見たら、皆さんシマに対する愛情たっぷりだな。
重:そうですね、皆さん熱のある想いを語ってらっしゃる。
浜田:ただ、俺ら二人でシマへの想いを語るのに小ぎれいにまとまる訳にはいかないという感情はあるな。
重:ですね、それが故の浜田氏との対談を望んだ僕ですから。
浜田:なるほど、素敵な人選です。
浜田:何というか、このシマに憧れて移住してくる方々とか帰ってくる方々って結構いるわけだけど、そのうち最初に描いていた理想とのズレというか、あれ?ちょっと違う?みたいな事に出会うと思うんだよね。
重:僕なんか、9年ほど前にここに移り住んできたわけですが、いや正にその通りでしたね。何というか憧れの女の子に会いに来たみたいな。南の島の綺麗な海や自然に囲まれて自由なライフスタイルを送るんだ!なんて夢に満ちた妄想膨らませて来ていましたね。
浜田:女子か。ん~~わかりやすい。間もなく現実に打ち砕かれる伏線を感じますね。
重:女性に勝手に色々理想像を描いて、好きになって、お付き合いして、一緒に暮らし始めて、何か色々気付き始めて、それを超えて結婚していく様と似てるなぁと。最初は島に来てみたら思い込み通りですが、段々と生活習慣の差を感じ始めて戸惑う。あーだこーだ考える時期が来て、その違いの根っこはあらゆるシーンで人との繋がりが重要な要素になっているというのをしみじみと実感するようになってきたんですよ。結局、都会での暮らしと色々比べてるんですよね。辛い時も楽しい時も本当にまわりの島ッチュ先輩方に良くしてもらいました。
浜田:シマの根底を支えてるのは、鬱陶(うっとう)しいまでの隣人との共生だと思うんだよな。俺は俺、あの人はあの人などという程良い距離感の間は、本当のシマに出会えないって感じだな。
重:あ、その愛情こもった鬱陶しいという感じいいですね。でも、その人の距離感が一番島の凄みだと思いますね。古き良き日本の生活スタイルの様な。

島の真骨頂、集いの場。古き良き日本の風情
コラム内で勝手に対談(2) ~住んで気付く葛藤編~
浜田:これからシマに来る人には是非お伝えしたいね。<シマ、鬱陶しいよ!>って。
重:奄美は良いとこ一度はおいで!とだけ言われるよりも素敵ですね。
浜田:わ~~、鬱陶しい!素敵ぃい!みたいな感じか。
重:確認しますが、我々は今、好きが故のお話、島への片思い話をつづってるんですよね。
浜田:100%そうだ。
重:片思いっていうのが、ものすごく僕の中ではしっくりくるんですよ。 この島で育って沢山の同級生がいる皆がうらやましいし、未だに自分は奄美の事をよくわかっていないなぁと思うし、中々島と距離が縮まってない様なそうでもない様な感じで。そこは僕が奄美2世ではあるけど奄美出身ではないからかなぁ、なんて。もうジェラシーだらけですよ。
浜田:ジェラシーは言えてるな。俺の場合は、簡単に言えば伝統行事とか地域行事とかが苦手。理由は上手に出来ないから。それ自体は、あれいいなぁ、って素直な心境を抱き続けてる。だから、片思いってのはしっくり来るしそれぐらいの立ち位置で「好きだぞ、てめぇこの野郎」って心で言ってる方が、俺なりに素直に愛情表現できるかなと。あ、俺こそめんどくさい鬱陶しい感じだな。
重:なるほどー。暮らすっていうのは、関わるという事。ですよね。行事だってお付き合いだってイベントだって。僕もお仕事ばかりしてないで、これから子どもの事を通して行事に参加しようと目論んでいます。

舟こぎ協会PV。春以降に配布開始
コラム内で勝手に対談(3)
~そんな想いをクリエイティブで出したい編~
重:ああ、でもこないだ奄美舟こぎ協会のPV(プロモーション・ビデオ)を『シマスタジオ』で一緒に製作した時に思い切って浜田さんのそんな葛藤をベースに仕上げていったじゃないですか。『ふるさとを素直に好きと言えない気持ち』をプレゼンでクライアントさんから共感もらった時は嬉しかったですね。思いの根底が伝わったのかなと。
浜田:『シマスタジオ』ってチームはそういうシマの内面からにじみ出るモノを、伝統にリスペクトしつつ固執する事無く、あらゆる形にして行こうというメディアでありたいね。
重:『島ノコタチ』でも『シマスタジオ』でも奄美を「良い悪い」ではなく色眼鏡でみない素直な表現をし続けていきたいですね。島のPRをするにしても表面的なものではなく、ちゃんと島ッチュが共感できるものを。世界自然遺産ではその自然を守るのも壊すのも島ッチュにかかっていると思いますし。
浜田:世界自然遺産登録の対象に、【アマミ人】を入れれば高確率で登録されるかも。
重:確かに奄美の風景もそうだけど、来島者に一番感じて欲しいのはこの島の人の風情ですからね。
浜田:このシマの壮大な鬱陶しさは理屈で語れない愛おしさがあるからな。
重:奄美!好きだぞこんちくしょう!みたいな。
浜田:俺たちの片思いを知っていつつ、ツンデレのシマから<バカ!>って言われたいね。
重:振られたらどうしましょう。
浜田:振られても、捨てないよこのシマは。だって鬱陶しいからな。

奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介
あまみんちゅ[no.35]
富岡 紀三さん(「スローガイド奄美」代表・瀬戸内町観光物産協会副会長)
潮干狩りでウニを手づかみで数えきれないほど捕ったこと。
夏の浜辺で寝転がり満天の星空を眺めていたら数えきれないほどの流れ星が見えたこと。
「幼い時を加計呂麻島で過ごしたことは一生の宝物」という富岡さん。奄美大島南端の古仁屋港からフェリーや海上タクシーで20分ほどの距離の加計呂麻島出身。「にほんの里100選」にも選ばれた同島や奄美大島の金作原などのガイドをしている。「スローガイド奄美」という屋号には、ゆるやかに流れる島の時間を楽しんでほしいという思いを込めた。
例年5月10日前後に梅雨入りする奄美。夏に向かって山や里の自然が次第に色濃くなる“深緑”にあふれ、雨にぬれた花々には一層の美しさがある。赤いデイゴの花(写真①)は5月中旬頃から6月上旬頃まで見られ、加計呂麻島にはデイゴ並木もある。同じ頃、ウケユリ(同②)やコンロンカ(同③)、香り高いゲットウ(同④)などの花も見ごろに。奄美市住用町の森では、世界最大のマメ科の植物モダマの花(同⑤)が咲き、秋には1mにもなる大きな豆ができるという。
古仁屋高校卒業後、進学を機に島を離れて関東で就職し15年ほど働いた後、Uターン。2006年から奄美大島のマングローブをカヌーで案内するインストラクターを3年近く経験した。奄美の自然などに関する講習会に参加し、08年末に個人ガイドとして独立。まだまだ学ぶことの多い毎日という。学生の頃から始めた写真は、帰郷し公民館講座で習い始めて夢中に。カメラを持ち歩き、ほぼ毎日写真を撮っている。「限りない魅力にあふれた奄美」なので被写体は無限大。動植物、食、風景、風習、文化すべて飽きることなく撮る意欲をかきたてられる。昨年から公民館講座のフォト教室の講師を務め、瀬戸内町観光物産協会主催で人気のカメラマンを講師に迎えた「カメラ女子旅」では、加計呂麻島の武名集落のガジュマルなどを案内。今年も7月を予定し、準備を進める。
17年の世界自然遺産登録を目指す奄美。登録が決まれば一躍脚光を浴びるだろう。「日本の原風景が残ると言われる島の魅力をのんびりと味わえるのは今のうちなのかも知れません。それぞれの癒やしの場所を見つけるため、ぜひ奄美大島、加計呂麻島にお越しください」

DATA
「スローガイド奄美」
- 奄美大島と加計呂麻島の自然を中心に案内。マングローブ原生林、太古の森が残る金作原、亜熱帯の森・滝、加計呂麻島の集落散策など。
<マングローブカヌーと森と滝のツアー(奄美大島)>
所要時間 約3時間
料金 1人5000円
※午前9:30 午後1:30の2回出発
<加計呂麻島巡り>
所要時間 約3?7時間
料金 1人4500円~8500円
※午前9:00~ 船の時間に合わせて随時出発
- [問い合わせ]
<住所> 瀬戸内町古仁屋宮前17-4
<電話> 090-7288-5980
<メールアドレス>amami-guide@sr.lomo.jp
<ブログ> 「徒然なる奄美」
<瀬戸内町観光物産協会> //www.kyurajima.com/
