奄美群島応援コラム奄美なひとときAmami na Hitotoki


沖永良部でしかできないプラスαの旅
ケイビングツアーへようこそ
author: 新納 佳恵(更新日:2016年08月11日)

装備を付けていざ洞窟へ
おきのえらぶと言えば「ケイビング」
沖永良部島は、周辺の他の島と同じく、青い海や空、白い砂浜といった癒しの地上世界はもちろん、温かい人々やゆっくりと過ごせる島時間に出会える島です。各島にはいろいろな遊びや体験がありますが、「おきのえらぶ」でしか体験できないのがケイビングです。
ケイビングとは簡単に言えば洞窟探検なのですが、島に数多くある、整備されていない照明もない自然の洞窟の中へ、ヘルメットとヘッドライトといった装備を身に付け入っていくアクティビティです。装備はレンタルすれば手ぶらで参加することも可能です。
石灰岩に覆われた島の洞窟では美しい鍾乳石が見られますが、一般的な鍾乳洞の観光とは全く違うもので、もちろん専門ガイドがつきます。しかも年中、ほとんど天気に左右されることもありません。さらには毒蛇・ハブのいない島なので、恐れることなくツアーに行けちゃいます。
エラブと言えばケイビング。少しずつ定着してきていますが、まだまだ知らない人のためにケイビングの紹介をしたいと思います。

水につかりながら洞窟内部へ進んでいく様子
体全体で感じる地底空間の神秘
ケイビングには、体験した人でないとイメージがわかない楽しさ、興奮、感動があります。どのコースでも、まず説明を受けた後で着替えを済ませスタートします。作業着のようなつなぎを着て、ひざ当てを付け、ヘルメット、ヘッドライトを装着します。靴はスニーカー。最後に手袋を付けて準備はOKです。ツアーの方々を案内するごとに、ガイドになる前、装備を身に着けただけでわくわくしたことを思い出します。
重装備のため、かなり汗だくになりながら洞窟へ入っていくと、少しずつ涼しくなっていくのが分かります。エラブの洞窟の中は、年中20度前後と一定の温度が保たれています。
ヘッドライトの明かりだけを頼りに進むと、うっすら巨大な空間が見えてきます。さらにガイドの持つハンドライトであたりを照らすと神秘的なその姿に驚くでしょう。

地下を流れる川に多くみられるテナガエビ
すぐに地下を流れる川に遭遇します。雨水が琉球石灰岩の中を抜け、たまっている地下水は濃度の高い石灰水。テナガエビやうなぎなど、数多くの生物も生息しています。
いざ水に足を浸けると、ひんやり感じる冷たさにびっくり! 水温も20度前後とこちらも年中ほぼ一定です。小学生の時入ったプールの水って、暑い日でも少しひんやりしていましたよね? それと似たイメージです。
水につかったり、四つん這いになったり、匍匐(ほふく)前進したりして進み、要所ごとにガイドがライトをセット。狭い空間では、鍾乳石を傷つけないよう細心の注意を払います。こうして地底空間を体全体で楽しみながら進んで行きます。そして最後には、見たことのない絶景にきっと言葉を失うことでしょう!
所要時間は洞内で2~3時間(初心者コース)。ひたすら頑張って歩くわけではなく、鍾乳石や洞窟がつくられる過程の説明を受けながら景色を堪能して進むので、ゆっくり楽しめます。
ところどころ水に浸かって遊んだりすることもできるので、仲間と一緒にワイワイ楽しむのもいいでしょう。もちろんお一人様も大歓迎です。地底の神秘を独り占めするなんて、贅沢ができちゃうことも。

洞窟が成長し天井の崩れたドリーネと呼ばれる空間(水連洞)
沖永良部島は「洞窟の聖地」
沖永良部島には、大小さまざまな200~300もの洞窟があると言われています。島はサンゴ礁地域の地盤が上昇することによって形成された「隆起珊瑚礁」の島です。島全体は隆起して地上へ出たサンゴ礁が基になり、琉球石灰岩に覆われている地形です。
地上に降った雨は、空気中の二酸化炭素を取り込み、さらに地表の落ち葉や枯れ木などの腐食酸などを吸収して酸性の水になります。この酸性の水が石灰岩内部を溶かし、川をつくり、やがて大きな空間を創り出すのです。また石灰岩の層を抜けてきた水は濃度の濃い石灰水となり、これが鍾乳石を創り出していきます。
鍾乳石はゆっくりと成長しやがてストロー状になります。これが1cm成長するのに20~30年もかかるのです。これは日本の内陸部に比べると早い方で、沖永良部は亜熱帯と呼べる、高湿、多雨であることが関係しているようです。

初心者コースのゴールとなるリムストーンプール
そして地下空間が発達して地表が陥没していく地形をドリーネと呼び、こういった部分が洞窟の入り口になっていることが多いようです。何百万年という長い年月、ほぼ一定の速度で島全体が隆起したことによってこのような形成過程が起こり、洞窟が数多く残されているのです。
与論島や喜界島も同じく隆起サンゴ礁の島ですが、隆起してきた速度などが違うため洞窟の数は多くありません。前にも書きましたが、他の島と違いハブがいないことも、安心して楽しめる理由の一つになっています。
洞窟が形成されるのに必要な、何百万年という月日は想像がつきませんが、真っ暗闇の世界で作られた地底世界、これはまさしく地球の胎内といえるでしょう。石灰が主成分で作られた鍾乳石は本当に美しく、こういったことすべてが奇跡とも思える沖永良部島は「洞窟の聖地」と呼ばれるようになりました。

島の洞窟で「最高峰」と呼ばれる銀水洞
場所ごとに違うケイビングの魅力
現在ツアーは4つのコースを用意していますが、初めての方は全員同じコースへ案内しています。
ケイビングツアーの目的として、探検を楽しんでもらうのはもちろんですが、島の自然を知って、見て、体感して、この自然の大切さを知ってほしいという思いも込め、ガイドを続けています。そのため、初級コースでは鍾乳石や島の成り立ちなどの簡単な説明なども含むため、ゆっくり洞窟内を進みます。
初心者コースの<リムストーンケイブ>、その後で挑戦できる<大蛇洞><水連洞><銀水洞>コース、この3コースは難易度の高いポイントもあるため、初心者コースでのレクチャーも行っています。洞窟内部の構造は場所ごとに全て違うため、楽しみ方も見える世界もまったく別世界です。
どのコースも年中体験できますが、必ず入水して前に進んでいきます。この夏の激しい暑さに少し嫌気がさしているあなた。涼しさを求めて、私たちと一緒に暑い日差しが恋しくなる地底の世界への探検に出かけてみませんか?

奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介
あまみんちゅ[no.51]
丸田 朝羽さん(晴れるベーカリー)
奄美大島・奄美市笠利町の用安海岸から徒歩3分のところにある「晴れるベーカリー」を夫婦で営む丸田朝羽さん。神奈川県出身。奄美大島出身の夫・恵さんの「いつかは奄美に帰りたい、子育ては奄美でしたい」との思いをうけて、2014年3月に奄美に引っ越し。約1年の準備期間を経て、パン屋をオープンした。
ほぼ独学でパン作りを始めた夫を店でサポートする。高温多湿の奄美の気候と向き合い、試行錯誤しながらやっと最近納得のいくパンが作れるようになってきたという。物流のハンディキャップはあるものの、「わざわざ島に行ってでも食べたいパン」を目指している。
Iターンして2年半ほど。家族で過ごす時間が増えた。「下の子どもが生後2カ月の時からお店で育てていましたが、子どもが泣くとお客さんが抱っこしたり、あやしてくれたりして本当に助かりました。子どもを大切にする奄美ならではだな~と思います」。ゆったりとした島時間の中、心穏やかにパン作りをすることも、パンの味わいに一役買ってくれていると感じている。

仕事終わりに、用安海岸へ子どもを連れて水浴びに行くことも。暑い日には10月くらいまで海に入ることができる。ベーカリーからほど近い同市笠利町与湾神ノ子にある「陶工房カフェ夢紅(ゆめくれない)」(電話=0997-63-2342)のディナーコース(要予約)がお薦めという。「夢紅さんの作るごはんはどれも手の込んだ心のこもった滋味あふれる味。目の前が海なので、ディナーが準備できるまでの間、波打ち際を散歩したり、山並みに沈んでいく夕日を眺めたりするのも気持ちがいいです」。まだまだ暑い夏に疲れた体や心をほっと休ませてくれる、そんな場所としてお気に入りの店だ。

DATA
晴れるベーカリー
- 奄美の塩と砂糖、白神こだま酵母、国産小麦を使って安心安全な、心が晴れやかになるようなパンを心を込めて作っています。1番人気のパンは、有精卵を使い、毎日カスタードクリームを手作りするクリームパン(税込み160円)。
- 奄美市笠利町用安1222-1
- [電話]0997-63-2383
- [営業時間]午前10時~午後5時
(水曜・第2.4木曜休) - http://ameblo.jp/hareru-bakery/
