新型コロナ 医療従事者へ中傷深刻 

職員ら「使命感が支え」 鹿児島県内
(2020/04/13 09:16)
防護具を身に着けて作業する感染症指定医療機関の看護師=鹿児島県内(野村真子撮影)
 新型コロナウイルスの治療にあたる医療従事者に対する中傷や暴言が、鹿児島県内で問題になっている。「地元在住でない人をなぜ入院させた」「感染が怖くて通院できない」-。日夜治療に専念する病院職員らは心ない言葉に傷つき「目の前の命と地域を守るため働いていることを理解して」と訴えている。
県内の指定医療機関の看護師は最近、子どもの通う保育園で「医療従事者の子は預からないよう検討している」と告げられた。感染者が入院した病院に勤める女性看護師は、同じ学童保育の保護者に利用をやめるよう頼まれショックを受けた。いずれも子どもを通じてウイルスが広がると誤解されたようだ。
 感染者の治療に励む男性医師は、入院させたことを同僚から非難され「まさか同業者に理解してもらえないとは。医療従事者の誇りと使命感を支えにしてきたが、病院スタッフへのさまざまな誤解や中傷でも心が折れそう」と嘆く。
 クレーム対応に疲弊する事務職員も。「コロナの患者がいる病院には二度と行かない」などと理不尽な電話が連日20件を超え、無言電話も来る。男性事務員は「受話器を取るなり怒鳴られ、罵倒され続ける。電話が怖い」と打ち明けた。
 ある指定機関の女性看護師長は「ウイルスへの恐怖や不安があるのは仕方ない。その感情を私たちに向けているのでは」と推測。救いになったのは、住民の「頑張って」「大変だね」というねぎらいの言葉だ。「地域のみんなが正しい知識を持ってくれたら」と願う。
 県内で新型コロナウイルスに感染した人は原則として感染症指定医療機関(13カ所)に入院する。10日現在、5人が県内の複数の病院(指定外も含む)で治療中。隔離された感染症病床は陰圧室や空気清浄システムなどを備え、スタッフは出入りのたびに防護具一式を脱ぎ捨てるなど、厳しい管理体制が敷かれている。
 鹿児島大学大学院の西順一郎教授(微生物学)は「感染者を受け入れている医療機関の対策は万全。彼らの献身的な努力に敬意を」と呼び掛ける。県看護協会の田畑千穂子会長は「最前線で頑張る医療従事者には、中傷でなくエールを送って」。指定機関である鹿児島市立病院の坪内博仁院長は「県民が一丸となって立ち向かうことが難局の克服につながる。医療者を信頼してほしい」と訴えた