桜島溶岩の微粒子で超薄膜 赤外線効果、親水性生かす商品開発へ 県工技センターが特許

(2020/06/05 09:15)
ポリエステル生地に溶岩をコーティングした断面の電子顕微鏡画像。繊維1本の直径は10マイクロメートル(鹿児島県工業技術センター提供)
 桜島の溶岩の超微粒子であらゆる素材の表面に薄膜を作る技術を、鹿児島県工業技術センターが開発した。溶岩の赤外線効果や親水性を加えた新製品の開発が可能になり、地域資源の新たな活用法として期待できそうだ。半導体部品の製造に使われるプラズマコーティングの手法を応用するため、実用化もスムーズとみられる。

 真空装置の中で溶岩に電気を帯びたガスをたたきつけ、飛び散る微粒子で、金属や繊維などの表面に密着力の強い膜を形成する。シラス研究開発室の袖山研一室長(56)と吉村幸雄研究専門員(47)が5年がかりで開発に成功し、5月25日付で特許登録された。

 溶岩1キログラムから厚さ千分の1ミリの膜が約400平方メートルできる。透明な薄膜のため、素材の質感を生かしたまま、溶岩の機能性をプラスできる。高性能の赤外線ヒーターや、汗を吸いやすい寝具や下着などが製品事例として考えられるという。100%天然成分のため、アクセサリーや時計ベルトを被膜すれば、金属アレルギーを起こしにくくすることも可能だ。

 これまでの溶岩の加工は、切断や粉砕、焼結などの技術にとどまっていた。「原子レベルまで細かくすることが可能になり、用途は無限大に広がる」と袖山室長。研究の中心となった吉村専門員は「地元企業と一緒に製品化を目指したい」と話した。