持続化給付金遅れ 「心が折れる」 資金繰り危機の零細経営者 国に募る不信

(2020/06/15 10:10)
「持続化給付金」の申請サポート会場について案内するポスター=鹿児島市東千石町
「持続化給付金」の申請サポート会場について案内するポスター=鹿児島市東千石町
 新型コロナウイルス特措法による緊急事態宣言が鹿児島など39県で解除され、14日で1カ月が経った。徐々に経済活動が再開していく中、人の移動が活発になれば感染の再流行を招くとの不安を拭えず、県内ではウイルスとの共存に向けた“新しい日常”の模索が続いている。公的支援の遅れも目立ち、経営難に直面する事業者からは悲痛な声が上がる。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、資金繰りに悩む事業者の救済につながると期待される国の持続化給付金。目安の2週間を過ぎても給付金が届かないケースが、鹿児島をはじめ全国で相次ぐ。国会では連日、不透明な運営委託を巡って議論されるが、日々事業の継続に悩む零細の経営者らには別世界のことのようにしか映らない。

■口座確認が日課


 「今日も届かなかった」。指宿市で観光施設を営む男性(62)は、金融機関の口座確認が日課になった。5月7日に同給付金を電子申請したが、6月13日現在振り込みはない。

 手続き状況を照会しようとこれまで200回ほど専用のコールセンターに電話したが、つながったのは1回だけ。その時も「個別には答えられない」を繰り返された。国も「手続きは委託先に完全に任せている」とつれなかった。

 経営する施設はコロナ拡大に伴う外出自粛で休業を強いられ、売り上げが激減。施設管理のため従業員を休ませることができず、雇用調整助成金も使えない。持続化給付金を運転資金にと思っていたが当てが外れ「金融機関からの借り入れなど別の手だてを検討せざるを得なくなった」という。

 九州経済産業局(福岡市)によると、持続化給付金は5月1日の受け付け開始以降、6月8日現在、全国で180万件超の申請を受け付け、120万件1兆6千億円を給付した。申請件数が膨大な上、書類に誤記があり不備となるケースも少なくないため、処理が遅れがちだという。

 国が全国に設置したサポート会場で、担当者と面談して申請した人でも給付が遅れるケースがある。

■もやもや続き

 鹿児島市の40代女性は5月20日、同市のサポート会場で手続きを済ませた。2週間程度と窓口で説明を受けたが、3週間以上経っても振り込みはない。「経営が厳しくて申請したのに。こんなに待たされるとは」と嘆く。

 オンライン申請から1カ月以上待たされて給付金200万円を受け取ったのは、印刷関連業を営む鹿児島市の男性(55)だ。最初の申請は5月5日。「不備がある」とメールで通知を受けた17日まで連絡は一切なかった。「受理されているのか、申請自体ができていないのか分からず、もやもやが続いた」

 コロナ拡大以降、イベント中止が相次ぎ、印刷物の受注は激減。手元資金が心もとなくなり、給付金申請と並行して金融機関からの借り入れも進めた。

 テレビや新聞で給付金を巡るニュースを見聞きする。政治家も官僚も「事業者に寄り添う」などときれいな言葉を並べ立てているだけと感じる。

 「政治の話も、行政の話も、遠い世界の出来事のよう。国のふがいなさを見せつけられる事業者は、資金繰りで会社が倒れる前に、心が折れてしまう」

〈ズーム〉持続化給付金
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、収入が前年同月比で50%以上減少した中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円を支給する制度。性風俗を営む事業者や宗教団体は対象外。2020年度第1次補正予算で2兆3176億円を計上し、第2次補正予算では1兆9400億円を積み増した。