保育3施設職員感染で一時休園 触れ合いの現場、コロナ予防に腐心 不安募る働く親 鹿児島県内

(2020/07/22 10:30)
混雑を避け順番に降園する園児と保護者=17日、鹿児島市(感染者が出た施設ではありません)
混雑を避け順番に降園する園児と保護者=17日、鹿児島市(感染者が出た施設ではありません)
 鹿児島県内の保育施設の少なくとも3園で職員が新型コロナウイルスに感染し休園となっていたことが21日までに、南日本新聞の調べで分かった。ほかに預ける施設がなく、親が仕事を数日間休まざるを得ないケースもあった。感染が急速に拡大する中、子どもの密集密接が避けられない保育現場はこれまで以上に予防策に神経をとがらせている。保護者の間には「自分が感染したら誰がみるのか」との不安も広がる。

 7月以降に感染者が確認された県内14市町のうち、21日時点で自治体が休園を把握しているのは少なくとも、鹿児島市と霧島市の2市3施設。いずれも職員が感染し、2施設は全面休園、1施設は一部学齢を休園とした。両市とも施設名は公表せず、鹿児島市の施設は運営する病院が公表した。現在は3園とも再開している。
■代替施設なく
 保育施設は園児や職員らが感染した場合、保健所による疫学調査の結果を踏まえ、施設の一部または全部を2週間程度休園とする。濃厚接触者となった園児は陰性であっても自宅待機となるため、休園中の受け皿はない。

 休園となった施設に1、2歳の2人を通わせる自営業女性(28)は4日間休業せざるを得なかった。子どもの陰性が分かると仕事を再開したが、休園は続き、子の世話を誰がどうみるかで苦心した。

 午前中は女性の母親に子どもをみてもらって仕事に行き、母親がパートに行く昼間は女性が自宅に。母親がパートから帰ると、夕方から再び仕事に行く生活を約10日間続けた。

 女性は「また起こりうる。代わりの預け先がほしいが、実際には感染が心配で預けられないかも」と話す。コロナ禍の休園時に仕事と育児を両立する方法は見いだせていない。
■自治体対応割れる
 7月以後、クラスター(感染者集団)の発生で県内全域に感染者が広がり保育現場は予防策に必死だ。鹿児島市の鹿児島幼稚園は10日から、園児の“密”を減らすため、自宅で子どもをみることが可能な場合は登園を自粛するよう保護者に要請した。登園は6割程度に減ったという。

 自治体の対応は分かれる。感染確認された14市町のうち保護者に登園自粛を呼び掛けたのは6市(そのうち1市は1園に対してのみ要請)にとどまる。

 3日に初の感染者が確認された指宿市は翌4日、市内の施設長と会議を開き登園自粛要請を決定した。一方、県内で最も感染者が多い鹿児島市は「県の休業要請の業種が限定的であり、働く親の受け皿確保のため」とし要請していない。

 鹿児島市保育園協会の青木和彦理事長は「“密”が避けられない保育現場は戦々恐々としている。働く親のためとはいえ、1人でも感染が出て休園になれば結局全員預かれなくなる。自治体から登園自粛要請を出してほしい」と漏らす。
■「親が感染したら…」
 「親が感染したら子どもは誰がみるのか」。実家が遠方にある保護者や一人親からは不安の声が上がる。
 国は、保護者が感染して入院し、子どもが陰性である場合について、基本的に「親族などが面倒をみる」とする。親族が身近にいない場合は、「児童養護施設や一時保護所で預かる」「保護者の入院先に一時保護委託する」との選択肢も示す。

 鹿児島市で1歳と5歳の子を育てる薬剤師の澤田めぐみさん(35)は夫婦とも実家は県外。身近に頼れる親族はない。「小さい子は親と離れて過ごすのは精神的にきつい。万が一のときは一緒に病院に入れてほしい」と希望する。