花火業者、「75発」にかける夏 コロナ下、3密回避 苦境から再起目指す 鹿児島県内

(2020/07/26 06:30)
出番を失った花火が積み上がる火薬庫=21日、日置市の太洋花火日吉工場
出番を失った花火が積み上がる火薬庫=21日、日置市の太洋花火日吉工場
打ち上げを準備する南国花火製造所の従業員=6月、鹿児島市のウオーターフロントパーク
打ち上げを準備する南国花火製造所の従業員=6月、鹿児島市のウオーターフロントパーク
 新型コロナウイルス感染拡大で、夏の風物詩である花火大会の中止が鹿児島県内で相次ぐ。書き入れ時を失った花火製造販売業者は、消防などへの許可が要らない75発以内の小規模打ち上げに活路を見いだし、イベントを主催する町内会などに提案している。「売り上げは9割減」(業者)という未曽有の苦境から再起を目指す。

 サマーナイト大花火大会、川内川花火大会、枕崎港まつりといった大勢の見物客でにぎわう大規模花火大会は軒並み中止や延期を余儀なくされた。

 六葉煙火(枕崎市)の古閑潔社長(42)は「キャンセルが続き、新型コロナのクラスター(感染者集団)発生も追い打ちをかけた」と厳しさを語る。

 太洋花火(鹿児島市)の火薬庫は5万発もの花火玉が使われずに積み上がったままだ。園田洋平専務(44)は「花火は1年前から作り置く。その分の投資費用はすぐに回収できない」と明かした。

 窮状に手をこまねいているわけではない。各社とも75発以内の小規模花火に照準を合わせる。玉の大きさにもよるが、打ち上げ費用は75発で25万~30万円。見物客の少ない町内会などのイベントなら「3密」を避けて楽しめる利点がある。

 六葉煙火の古閑社長は「通常の花火大会の収入には遠く及ばないが、小規模の積み重ねで乗り切るしかない。飲食業のイベントなど他業界との連携も考えたい」と話す。

 日置市伊集院町麦生田と鹿児島市川上町で19日、色とりどりの75発が夜空を彩った。いずれも夏祭りが中止になった代わりに町内会が企画。六葉煙火が打ち上げた。

 太洋花火も中止になった夏祭りや六月灯の主催者などに営業をかけ、小規模の打ち上げを働き掛ける。企業からの要望もあり、秋のイベントを含め約30カ所で打ち上げ交渉を進める。園田専務は「この機会に個人でも打ち上げられることを知ってもらいたい」と顧客開拓に余念がない。

 6月1日、全国160超の花火業者がコロナ収束を願って一斉に打ち上げた。県内でも4業者が8カ所で開催。見物した人から「うれしいサプライズ」との声が上がった。

 南国花火製造所(鹿児島市)は6月19日、同市本港新町のウオーターフロントパークから75発を自腹で打ち上げた。中河隆則社長(57)は「コロナ下で落ち込む気持ちを少しでも前向きに、明るくしたい願いを込めた。皆さんの喜ぶ顔が見られて本当に良かった」と語り、「苦境をしのぎ、伝統文化が忘れられないよう全力を尽くしたい」と力を込めた。