「歩くことは生きる活力」 視覚に障害、音声入力でエッセー集 鹿児島市の槐島さん

(2020/08/14 13:00)
エッセー集を出した槐島一郎さん=鹿児島市中山町
エッセー集を出した槐島一郎さん=鹿児島市中山町
 鹿児島市中山町で、はり・マッサージ治療院を営む視覚障害者の槐島一郎さん(72)が、好きなウオーキングを楽しみながら、よみがえった心象風景をエッセー集「甦(よみがえ)る・夢ウオーク」としてまとめた。「歩くことは生きる活力の源。記録として残しておきたい」と思い立ち、ペンの代わりにパソコンの音声入力で執筆した。

 30歳のとき突然、原因不明の病気で視力を失った。3年ほど失意のどん底にいたが、福岡市にある国立の支援施設に入所。はり、きゅう、マッサージの3療師の免許を取得した。

 槐島さんにとって、失明する前の30年間の「見える世界」と、その後の42年間の「見えない世界」は全く別の空間になったという。視覚を頼れなくなった分、触覚や聴覚、嗅覚をフル回転させる。そして、部屋に引きこもりがちにならないように、積極的に外出することを心掛けた。

 2017年、知り合いの視覚障害者と、ガイドヘルパー(移動介護従事者)の計10人で「歩こう会・ウオーキングソンググループ(WSG)」を結成。月1回の例会で各地に出掛け、お気に入りのコースを散策する。

 エッセー集は96ページ。城山(鹿児島市)や冠岳(いちき串木野市)、雄川の滝(南大隅町)など、5カ所を訪れた様子がそれぞれ描かれている。文章の書き方は鹿児島市内のエッセー教室で学んだ。

 非売品。県立図書館や市立図書館、県視聴覚障害者情報センターなどに寄贈する。槐島さん=080(8550)9993