新型コロナ ショーパブ、離島、高齢者施設…鹿児島県内、7月にクラスター多発 感染者、1カ月超で25倍に 県外からの移動関連や家族内の感染が増加傾向

(2020/08/14 09:00)
新型コロナウイルスのクラスターが発生した店名を公表する鹿児島市の担当者=7月2日、鹿児島市役所
新型コロナウイルスのクラスターが発生した店名を公表する鹿児島市の担当者=7月2日、鹿児島市役所
 鹿児島県で7月以降、新型コロナウイルスの感染者数が一気に増えた。全国の緊急事態宣言が解除された5月下旬までの感染者数は10人だったものの、7月に四つのクラスター(感染者集団)が発生。夜の街や離島、院内感染、高齢者施設など、懸念された事態が次々に起きた。経路不明の感染も増えている。8月9日以降13日まで新たな感染者発表はないが、警戒は欠かせない。

 「今回のケースはクラスターと考えている」。鹿児島市の森博幸市長が天文館のショーパブでの集団感染を発表した7月2日を境に、県内の感染状況は一変。6月末まで11人だった感染者は277人と約25倍に急増した。

■病床逼迫
 市が店名を公表して検査を呼び掛けると、県内の帰国者・接触者相談センターには電話が相次いだ。6月に1日平均約70件だった相談は急増。1500件を超える日もあった。PCR検査数も1日788件まで跳ね上がった。1日当たりの検査可能数は147件だが、稼働時間を延長するなどして対応した。

 感染者数も増加。クラスター以外を含めて7月3日に30人、4日には34人の感染が発表された。

 県は感染者向けの病床確保数を253床としていたが、即応できる病床は限られていた。受け入れ可能病床を3日に50床、4日に80床、5日に90床超と増やすが、7月の合計感染者数は3日40人、4日74人、5日87人と病床数に迫っていた。県の中俣和幸医療審議監は5日の会見で「病床は逼迫(ひっぱく)している」との危機感を示した。

 「医療崩壊」が現実味を帯び、県は原則入院という方針を改め、軽症者や無症状者の宿泊施設収容を始めた。

 ショーパブ関連の感染者確認は16日まで続き、県内10市2町の116人が感染、県外でも複数の感染者が出た。来店者の家族や知人らにも広がる大規模なクラスターとなった。

■島外搬送
 22日には与論町唯一の総合病院で働く看護師の感染が確認された。院内や会食者への広がりも判明。国の観光支援事業「Go To トラベル」が始まる中、山元宗町長は「苦渋の決断。島民の命を守りたい」と来島自粛を要請した。

 8月7日までに、島の人口約5200人の1%強に当たる55人の感染が判明。島外の1人も感染した。役場職員や郵便局、病院関係者らにも波及し、島の生活基盤が揺らぎかねない状態に緊張が高まった。

 県は医療体制がぜい弱な離島の感染者は島外に搬送するという方針に沿って、海上保安庁と自衛隊に支援を要請。ヘリなどでほとんどの感染者を島外に搬送した。感染症に詳しい鹿児島大学大学院の西順一郎教授(微生物学)は「島外搬送によって院内感染を小規模にとどめられた」と評価する。

■4人死亡
 鹿児島市では介護事業所と高齢者施設でもクラスターが発生した。現時点で、デイサービスに通う高齢者と職員ら9人と、施設入所者と職員ら15人。同市は「感染は限定的」としてこれらの施設名を公表していない。

 県内の感染者のうち、高齢者4人が死亡した。高齢者の感染の危険性が改めて浮き彫りになった。

 7月以降、クラスター以外の感染者は70人に上る。西教授は県外からの移動に関連した感染や家族内での感染が増えている最近の傾向に注目、対策の必要性を訴える。「どういう場で、どの程度の接触で感染が起きているのかを行政は詳しく公表すべきだ。県民はどこに気を付ければいいのか感染防止に役立つ情報を出してほしい」と話す。