時計 2020/08/20 11:00

新型コロナ死者情報 鹿児島県は公開に消極的 熊本、兵庫など感染防止、不安解消へ多項目開示

鹿児島県内の新型コロナウイルス感染者や死者について説明する地頭所恵・県くらし保健福祉部長=17日、県庁
鹿児島県内の新型コロナウイルス感染者や死者について説明する地頭所恵・県くらし保健福祉部長=17日、県庁
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い感染者の死亡が増える中、死者に関する情報公開は自治体によってまちまちだ。鹿児島県内の死者7人のうち、県の公表分は死亡日と高齢者という情報にとどまっている。他県と比較しても情報不足が際立つ。

 県内で初めて感染者の死亡が明らかになったのは7月28日。鹿児島市は年代と性別を公表し、死亡日や基礎疾患の病名を伏せた。2、3例目も同様だ。

 県が公表した他の4人についてはいずれも居住地はおろか、年代や性別も非公表。うち2人はクラスターとの関連も不明だ。

 県の地頭所恵・くらし保健福祉部長は18日の会見で「遺族の意向や心情を考慮し、最小限の情報を伝えた方がいい」と説明。遺族から「個人の特定につながる情報は出してほしくない」と要望されたという。だが「性別、年代、基礎疾患など具体的な項目は確認していない」と述べた。

 死者の出ていない佐賀県を除く九州・沖縄では、感染判明時の居住地、年代、性別、職業などの情報と照合できるよう「何例目の感染者が死亡した」と公表する県が多い。熊本、福岡、長崎、大分がそうだ。

 熊本県健康危機管理課は「最低限必要な情報で、個人の特定には至らない」と説明。これまでの死者は7人だが、公表を拒んだ遺族はいない。感染防止を呼びかけるため、保健所単位だった居住地の公表を8月から市町村単位に改めた。

 福岡県新型コロナ対策本部は「中傷される可能性が高い」として遺族の意向を尊重する。その結果、ほとんどが年代と性別のみを公表する。長崎県も遺族の希望で非公表にするケースがある。

 大分県は4月にクラスターの1人が死亡し、結果的に基礎疾患の病名など多くの情報が分かる形になった。このため公表内容を検討中だ。

 沖縄県は遺族の意向によって非公開にする項目もあるが、居住地、死亡日、年代、性別、陽性判明日を原則公開する。宮崎県の死者はこれまで1人。遺族の抵抗感が強く「高齢者」とのみ発表した。

 一方、兵庫県は県民の要望に応え、啓発を目的に積極的に情報公開する。遺族の意向を確認しながら、開示するのは居住地、年代、性別、職業、クラスターとの関連と多岐にわたる。

 県感染症対策課は「情報が少ないと住民は不安になる。身近で感染が起きたと伝えて予防を促したい」。

 感染症に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「感染拡大予防の観点からは、死者についてもクラスターとの関わりやどんな状況で感染したかを示す必要がある。公益に資する情報は公開すべきだ」と話した。