台風10号 「早く過ぎ去って」不安な一夜 暴風へ最大級警戒 鹿児島県内避難所、満員に

(2020/09/07 06:00)
避難所に身を寄せ、体を休める住民=鹿児島市の喜入公民館
避難所に身を寄せ、体を休める住民=鹿児島市の喜入公民館
 6日、「最大級の警戒」の中、台風10号は非常に強い勢力を維持し鹿児島県内全域を暴風域に巻き込んだ。100万人以上に避難指示・勧告が出された。停電が相次ぎ、交通機関はまひ。「新型コロナウイルスより台風が怖い」。お年寄りを中心に住民らは続々と避難所に向かった。たたきつける雨と強風が吹き荒れる中、不安な一夜を過ごし、「早く過ぎ去って」と願った。

 鹿児島県内の各市町村の避難所には、多くの住民が身を寄せた。大事をとり5日から駆け込んだ人たちもいた。各避難所は新型コロナ対策として検温や手指消毒、問診票の記入などを実施。3密回避で従来より定員を減らした。

 6日午前7時、風雨がまだ静かだった枕崎市の市民会館は、新型コロナウイルス対策で定員を200人から半分以下の約70人に縮小して開設。次々に住民が集まり、間もなく満員となった。同市明和町の田畑牧志子さん(66)は「これまで市内の姉の家を頼っていたが、今回の台風はとても強いので初めてここに来た」と心配そうな表情。同じく避難所の鹿児島水産高校にはペット連れの住民が次々に避難した。
市内を巡回しながら警戒を呼び掛ける消防車両=枕崎市緑町
市内を巡回しながら警戒を呼び掛ける消防車両=枕崎市緑町


 鹿児島市和田1丁目の和田福祉館は避難所を開設した5日に、早速中山町のグループホーム9人を受け入れた。ホーム長の八反田智惠子さん(73)は「施設が被害を受ける恐れがあった。利用者の命を守ることが最優先」。

 同市永吉1丁目の鹿児島アリーナに6日身を寄せた近くの前田エミさん(90)は民生委員に付き添ってもらった。1993年の8・6水害を経験。当時は首まで水に漬かり、家財道具がだめになった。「災害は怖い。今住む家は斜面の下にあり、土砂崩れが心配」。同市喜入町の喜入公民館に駆け込んだ北中伸子さん(85)は「避難所が過密でも、今は新型コロナより台風が怖い」と話した。

 阿久根市の避難所「働く女性の家」にも普段より多い住民が避難した。立山友子さん(78)は「動きが取れなくなる前に早めに来た」。さつま町の薩摩中央高校体育館に避難した有川光国さん(50)は、2006年の北薩豪雨で自宅周辺が浸水。「今回は何事もなく早く過ぎ去ってほしい」と願った。日置市では3カ所の避難所が午前中で満員となり、追加開設した。
避難所に身を寄せる福祉施設の利用者ら=鹿児島市和田1丁目
避難所に身を寄せる福祉施設の利用者ら=鹿児島市和田1丁目