時計 2020/09/30 11:40

スポーツ庁・鈴木長官に聞く 「2023年鹿児島」新しい国体に 健康意識向上の契機になって

鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会へエールを送る鈴木大地長官=28日、東京都のスポーツ庁
鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会へエールを送る鈴木大地長官=28日、東京都のスポーツ庁
 30日に退任するスポーツ庁の鈴木大地長官は、南日本新聞の単独インタビューに応じた。2023年開催が事実上決まった鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会について、あらゆる世代がスポーツの価値を理解し、健康に結びつける「健康リテラシー(理解や意識)」が浸透する契機になってほしいと期待。「コロナ禍の新しい時代に合った国体が望まれる」と述べた。

 鈴木長官はこれからのスポーツの価値について「スポーツに親しむことで健康になり、医療費の抑制にもつながる。高齢者も子や孫世代の日本に想像を巡らし、運動に親しんでほしい」と訴えた。

 その好機として国体・障スポを挙げ、「大きな大会があることで興味を持ち、スポーツを始める人が出る。効果は計り知れない」と期待を込めた。

 今後の国体のあり方については「コロナへの対応や開催地の負担を考慮し、国体のステータスを維持しながら、誰もが納得する形を考えるべきだろう」と述べた。

 インタビューは28日、東京のスポーツ庁で行った。

 一問一答は次の通り。

●コロナ下、開催基準の重要性実感

-鹿児島国体の延期交渉は難航した。

 「後続の開催県が詰まり、難しい交渉だった。多くの関係者が少しずつ我慢や変化を受け入れ、国体・障スポを継続していくという思いが実を結んだ。感謝申し上げたい。鹿児島の皆さんもほっとしているのではないか」

 -国体には肥大化や開催県が天皇杯を獲得する慣例など課題もある。今後求められるものは。

 「コロナ禍という予期せぬ事態で(延期や中止など)開催判断ルールの重要性を感じた。都道府県にとって50年に一度の重要なイベント。伝統を大事にしながら社会の変化に応じ、新しい時代に合った形が望まれる」

 「五輪やパラリンピックも簡素化が言われている。国体の選手強化には公金を使う。選手たちは、地元の子どもに鍛え上げたパフォーマンスを見せることが良い効果を生むという意識を持ってほしい」

 -開催する地域社会への影響は。

 「皇室を迎える儀礼セレモニーなどの準備にいつも感心する。こういう経験は地域の財産になる。刺激を受けた人が身近なスポーツに励み、スポーツ施設などのインフラが整い、地域経済も潤う。効果は計り知れない」

 -高齢化社会のスポーツの価値をどう考えるか。

 「スポーツや運動は健康増進につながる。体が弱った高齢者は転倒して骨折し、要介護につながることが多い。日頃から運動をしてもらうことが、医療費の抑制にもなる」

 -スポーツによる地域振興の施策は。

 「一つはアウトドアスポーツツーリズム。鹿児島湾を泳いで渡る子どもたちの行事のように、桜島をバックに泳ぐ大人向けの大会は魅力的だ。美しい自然を走る、泳ぐという舞台にすれば、世界的に有名になれる」

 「もう一つは武道ツーリズム。武道の稽古に来て長く滞在する外国人がいる。インバウンド(訪日外国人客)が地方を元気にする。コロナの収束が大前提だが、風土、食、文化など地方の魅力を、スポーツを通じて体感してもらう流れをつくることが大切だろう」

 -長官自身の国体の思い出は。

 「国体は大好き。現役時代は競技だけでなく開催地の観光や食を楽しんだ。長官としても携われて良かった。退任するが、これからもいい形での発展を願う。2023年を楽しみにしている」
 
 ■鈴木 大地氏(すずき・だいち)順天堂大大学院修了。1988年ソウル五輪の競泳男子100メートル背泳ぎ金メダリスト。2013年に史上最年少の46歳で日本水泳連盟会長に就任。15年に創設されたスポーツ庁の初代長官となり、競技力向上の国の支援方針「鈴木プラン」や競技団体に健全運営を促す指針「ガバナンスコード」の策定に取り組んだ。53歳。千葉県出身。