時計 2020/10/20 12:00

親子2代〝本の定期便〟半世紀 「心豊かになって」 地元中学に計2300冊寄贈 鹿児島・出水

宇都文庫のコーナー前で寄せ書きを受け取る宇都忠良さん(右)=出水市野田町上名
宇都文庫のコーナー前で寄せ書きを受け取る宇都忠良さん(右)=出水市野田町上名
 出水市野田町下名の会社会長、宇都忠良さん(75)が、地元の野田中学校に本68冊を寄贈した。父の故・忠男さんが1963(昭和38)年に始めて以来、半世紀以上続く“本の定期便”は計約2300冊に上る。忠良さんは「生徒たちの心が豊かになり、視野が広がってほしい」と願っている。

 寄贈本は「宇都文庫」と呼ばれ、生徒らに長年親しまれている。63年当時勤めていた教員が書いた「宇都文庫由来記」によると、忠男さんはPTA会長を務め、末娘が卒業したのを機に寄贈を始めた。

 忠良さんは「父が育った大正、昭和初期は貧しく、勉強したくてもできない時代。高度成長期になり、子どもたちに本に学んでほしいという思いが強かった」と話す。2002年に忠男さんが亡くなり、「卒業生として役立ちたい」と遺志を引き継いだ。

 毎年の寄贈本は学校と相談して決める。今回は情報モラルやプログラミング、医療、手芸など幅広い分野の本が選ばれた。図書室に設けたコーナーに並ぶ。

 贈呈式は例年、図書部の生徒だけの出席だが、今年は「宇都さんの姿を見たい」との声が上がり、13日の全校朝礼で実施した。図書部長の3年川畑あさひさんが「学ぶきっかけが増えてうれしい。子どもの将来のためにという気持ちを大事にする」と感謝した。

 副部長の3年東勇貴さんは、お礼の寄せ書きを手渡した。宇都さんは「読書に目覚める子どもが一人でも増えたらうれしい。元気な間は寄贈を続けたい」と話している。