時計 2020/10/23 11:20

うつぶせ寝乳児死亡 鹿児島県、認可外保育施設に特別立ち入りせず 14年度から人員不足、報告書不備把握

鹿児島県庁
鹿児島県庁
 昨年2月、生後6カ月の乳児をうつぶせに寝かせ窒息死させたとして、元施設長ら2人が業務上過失致死の罪に問われ、鹿児島地裁判決で有罪となった出水市の認可外保育施設を巡り、鹿児島県が2014年度から施設の人員不足を指摘し、改善報告書の不備も把握しながら、「必要に応じて行う」と定められている特別立ち入り調査を実施していなかったことが22日分かった。

 認可外施設への国の指導監督基準の指針では、都道府県は年に1度以上立ち入り調査し、施設におおむね1カ月以内に報告書の提出を求めるとしている。提出の遅れなどがある場合は「必要に応じて」特別立ち入り調査を行うとする。

 出水の施設に対し、県は14、16、17年度に通常の立ち入り調査を実施し、14年度には人員不足を指摘。16、17年度は、施設長が口頭で「人員は足りている」などと述べたが、出勤簿や勤務表などの書類がなかったため、提出を求めた。

 3回の調査後、施設は業務多忙などを理由に、締め切りを1カ月月半~3カ月半すぎ報告書を提出。出勤簿などの書類の添付もなく不備があったが、県は特別立ち入り調査はしなかった。県は「提出があったため、改善状況は翌年度確認することにした」としている。

 事件を受け県は昨年11月、認可外保育施設への立ち入り調査実施要領を改正。県子育て支援課の三反田みどり課長は「1カ月以内の報告書提出と実地での確認を徹底し再発防止に努める」とコメントした。

 鹿児島女子短期大学の赤瀬川修准教授(児童家庭福祉)は「『必要に応じて』の文言があいまいで後回しにされたのではないか。行政が権限と責任を持ち調査すべきだった」と指摘。認可外施設については「行政はより明確な線引きを示し子どもの命を一番に考えるべきだ」と強調した。

 判決によると、元施設長=禁錮1年執行猶予3年=は昨年2月28日正午ごろ、元保育士=罰金50万円=にうつぶせ寝をしないよう指導しなかった上、睡眠中の乳児の動静を確認せずに漫然と外出した過失と、元保育士がうつぶせ寝をさせた過失が重なり、乳児は窒息死した。同施設では事件発生当時、保育士1人が県の基準を上回る18人の乳幼児を預かっていた。