時計 2021/01/21 11:05

新聞投稿23年、妻の遺影に捧げる「卒寿記念集」 校正に協力…最期の言葉は「しっかり食べてね」

卒寿記念集を前に、次の投稿を練る前原睦男さん。妻房子さんの遺影の前にも供えてある=霧島市国分
卒寿記念集を前に、次の投稿を練る前原睦男さん。妻房子さんの遺影の前にも供えてある=霧島市国分
 霧島市国分の前原睦男さん(90)は、南日本新聞「ひろば」欄へ毎月1、2回の投稿を続ける。1998年の入院をきっかけに老化防止のため始めた。2012年2月、81歳の時、掲載100回を達成。まとめた記念冊子「四季に思う」を作った。

 投稿の習慣は、その後も変わらない。昨年7月、90歳の誕生日を迎え、改めて採用分を数えてみると、さらに50回近く更新されていた。今度は卒寿記念として「四季に思う」の続編を刷った。

 もえぎ色の表紙をめくると、101回目となった12年4月の「待ち遠しい新しい国産旅客機」から日付順に並ぶ。三菱重工業が開発を進めていた国産初のジェット旅客機への憧れは、15年11月掲載分にも。だが同社は昨年、事業凍結を発表した。「長生きして乗りたかったが」と残念そうだ。

 書くテーマは時事問題からスポーツ、戦時中の思い出まで幅広い。「何を書こうかなあと思いを巡らすのも楽しい」

 いつも誤字脱字をチェックしてくれたのは妻房子さん。62年余り連れ添った。昨年9月急逝。最期のメッセージが「しっかり食べてね」だった。その言葉を守って生きる、との誓いを11月に投稿すると、さつま町の男性から「自分も同じ境遇です」というせつせつたる手紙が届いた。

 「多くの読者とつながっているのが励み。自分の歴史が新聞に記録されていくのも、うれしい。投稿を始めて23年目。どこまで続きますか」。年明けに刷り上がった卒寿記念集はまず、妻の遺影に供えた。
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